発進すると、モーターとガソリンエンジンを併用した駆動で独特な加速を味わわせた。動力性能は、小型4ドアセダンとして十分に思った。高速走行では、やや加速に物足りなさを訴える意見もあったが、日本の道路環境で使うぶんには不足なく、むしろ環境の時代を迎えるにあたって、エネルギーを最適に使う運転の仕方や、移動速度への価値観を改めて考えさせる動機づけがあると思った。
減速し、停止するまでの間は、モーターを発電機に替えて回生により減速度をもたらし、かつ車載のニッケル水素バッテリーに充電する。通常の摩擦ブレーキを使って停止するまでの回生との調和に、やや段付きのある不自然さはあったが、あえてそれが不都合だと批判するほどではないというのが私の考えであり、この先改善を期待した。
そうした走行性能だけでなく、初代プリウスは座席のつくりにも手を入れ、やや硬めでしっかりとした座り心地で、体に沿った形状は、長時間の移動も疲れにくくさせる効果があった。
誰でも乗れる大衆車を目指したプリウス
単に世界初のHVという挑戦に酔いしれるのではなく、誰もが乗れる小型4ドアセダンとしての質や価値にもこだわったところが、初代プリウスの偉大なところである。
EV開発が一時停滞したように、新しいバッテリーの登場は、HVでも望まれる重大要件であった。トヨタは、パナソニックと共同開発によって、クルマ用のニッケル水素バッテリーを生み出したのである。合弁会社を作り、専用の工場を建設した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら