トヨタ「プリウス」EV停滞の中で生まれた開拓者 時代に先駆けてハイブリッド車を量産した功績

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ZEV法をきっかけに、アメリカ国内のビッグ3(ゼネラルモーターズ/フォード/クライスラー)のみならず、日本のトヨタ、日産、ホンダ、そして欧州でもメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、ルノー、プジョーなどといったメーカーが、電気自動車(EV)開発に乗り出した。しかし、ノーベル賞を受賞した吉野彰が開発したリチウムイオンバッテリーが、ソニーで製品化されるまで、エンジン車の補器用電源として使われる鉛酸バッテリーしか蓄電の手段がなく、EVの市場導入は遅れることになった。

世界初の量産ハイブリッド車としてプリウスが登場

初代プリウスの機構を紹介した透視図
初代プリウスの機構を紹介した透視図(写真:トヨタ自動車)

そこに登場したのがプリウスである。トヨタのEV開発とは別に、21世紀にあるべきクルマの姿を模索する研究と開発から、ガソリンエンジン車の2倍の燃費を実現することを目的にHV開発がはじまり、それがプリウスとして1997年に市販されたのである。

EVの開発を通じて電気駆動系の取材をしてきた私は、プリウス発売前に「コロナプレミオ」の車体を使った試作車を試運転させてもらった。静岡県裾野市にある東富士のテストコースで運転したコロナプレミオのHVは、ボンネットフードを開けると、エンジンとモーターと制御系が効率よく収められ、これほど高度なシステムに仕上がっていたことに驚いた。

初代プリウスのサイドシルエット
初代プリウスのサイドシルエット(写真:トヨタ自動車)

市販された初代プリウスは、5ナンバーの小型4ドアセダンで、やや背の高い独特な姿をしている。外観の好みはあったが、私はほかにない独特な存在感に好感を覚えた。運転席に座ると、センターメーターが採用されており、そこが、従来と違う未来を切り拓く新しい価値観のクルマという強い印象をもたらした。

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