日産「セレナ」発売1年、なぜ存在感が薄いのか e-POWERとプロパイロット2.0がもたらす価値

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他社でも、ハンズフリーの機能を備える車種はあるが、これまで試乗した経験からすれば、日産のプロパイロット2.0がもっとも信頼と安心を与える仕上がりになっている。機能を信頼できれば、もっと使おうとの気持ちになり、プロパイロット2.0を選んだ甲斐が高まる。

プロパイロット2.0によるハンズフリーのイメージ
プロパイロット2.0によるハンズフリーのイメージ(写真:日産自動車)

当然ながら、高速道路などで制限速度内での使用となるが、ミニバンであることによって無暗に速度を上げようといった気分は自然に抑えられ、また、多人数乗車での乗員への安全や安心・快適の配慮の気持ちも作用して、制限速度内でのハンズフリー走行はより実用度を増す。

プロパイロットの基本である前車追従型のクルーズコントロールと車線維持機能も積極活用すれば、余計な加減速や操舵が少なくなり、同乗者の車酔いを抑える働きも期待できる。自動運転の段階ではないが、近年の運転支援機能は、単に安全性の向上だけでなく、乗員の快適な移動の助けともなっているのである。

運転のしやすい広い視界
運転のしやすい広い視界(写真:日産自動車)

上質な乗り味と、プロパイロット2.0という先進の運転支援技術を得られるルキシオンは、セレナe-POWER車販売台数の約10%を占めていると日産広報は述べている。その購入者には、これまでトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」に乗ってきた消費者の乗り換えが含まれるとのことだ。

ファミリーユースの先を見据えた展開

ルキシオンのリアビュー
ルキシオンのリアビュー(写真:日産自動車)

すなわち、これまでは5ナンバーのミニバンとの位置づけを基本的な価値とし、家族や仲間との移動に役立つ実用ミニバンとして競合してきた、ノア/ヴォクシーやホンダ「ステップワゴン」が目指してきた商品性と別に、エスティマやオデッセイといった上級ミニバンの顧客をも引き付ける商品性を、セレナ・ルキシオンは手に入れたことになる。それは、新たな市場を開拓したことにもなるだろう。

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現状、販売台数では以前に比べ浮き沈みがみられるセレナではあるが、部品調達が順調に進み、またルキシオンの価値がさらに浸透していけば、販売台数を力強く押し上げていくことを期待できるのではないか。新型販売から1年という成果はまずまずという水準かもしれないが、潜在能力として、再びミニバンナンバー1を取り返す商品力は十分に備えていると感じる。

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御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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