
日産自動車が2024年10月に発表した「セレナ」の4WD「e-4ORCE(イーフォース)」が、実にいいクルマだ。
ジャーナリストにテストドライブの機会が初めて与えられたのは、2025年2月の北海道。自慢のメカニズムを体験するのに、雪上もいい場所だと、同社の開発陣は胸を張っていた。

日産自動車といえば、行く末がファンをやきもきさせている。2025年3月期の純損失800億円の背景のひとつとして、ホンダとの統合に向けた協議や破談など、不安要素が多い。
北米市場向け大型ハイブリッド車の不足など、売れる車種がないことを指摘するメディアも多かった。
日本でもSUVのラインナップ拡充が求められるところだが、セレナe-4ORCEに乗ると、クルマ好きとしては「(このクルマを作った)日産の技術が失われてはならないんじゃないか」と思わせられる。
遅れて登場「e-POWER」の4WD
セレナとしては第6世代になる現行型は、2022年に発売された。通常のガソリンエンジン車に加え、シリーズハイブリッドの「e-POWER」搭載モデルが、当初より設定されていた。
しかし、4WDモデルはガソリン車にしかラインナップされておらず、e-POWERモデルの4WDは今回が初となる。

e-4ORCEの特徴は、エンジンで駆動用バッテリーに給電するe-POWERで前輪を、そしてもうひとつのモーターで後輪を駆動するところにある。
「e-4ORCEのよさは、トルクが太いモーターを後輪用に使うところにあります」と日産自動車の開発担当エンジニアは言う。
実際、雪道での走りに不安感がない。もちろんこのときは、ブリヂストンの「ブリザック」という高性能なウインタータイヤを装着していたけれど、それだけで雪上の走破性は完全にはならない。クルマの駆動系にもよるところが大きい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら