日産「セレナ」発売1年、なぜ存在感が薄いのか e-POWERとプロパイロット2.0がもたらす価値
駆動用バッテリーの電力を第1世代以上に使い切る制御を行い、そのうえで、適切な時期に発電のためガソリンエンジンを始動する改良が施された。たとえば、一定速度で走行中にガソリンエンジンを始動すると、それまで静かなモーター走行を楽しめていたのに、エンジン音が加わり、煩いとか鬱陶しいといった意識が働く。そこで、アクセルを踏んで加速する場面でエンジンを始動すれば、人の気持ちは加速が必要になった交通状況、たとえば、より高速域での走行や上り坂であるとか、追い越しをかけるなどといった場面で、ガソリンエンジンが始動したことによる騒音に気づきにくくなる。
駆動用バッテリーの充電管理と、走行状況の変化などを考慮した発電用エンジンの稼働を制御するように、知見を生かした技術的改良と、乗員の心理を活用した第2世代へ、e-POWERは改善されたのだ。
試乗してみると、あたかもEVを運転しているかのような気分が増している。それは、セレナがより上質なミニバンとなった印象を強めるのである。
静粛性の向上は、競合のノア/ヴォクシーでも改善されている。だが、モーター駆動のみで走るセレナのe-POWERは、その静粛性に加え、加減速などあらゆる走行の領域でEVらしさを実感させ、上級さを喜びにつなげているのである。
最上級となるLUXIONの存在
e-POWERの魅力を、車種構成のさらなる拡充につなげたのが、新しく加わったLUXION(ルキシオン)という最上級車種だ。これまで人気の高かったハイウェイスターと同じ3ナンバーの車体で、唯一7人乗り(ほかの車種は8人乗り)とすることにより、2列目の座席が個別のキャプテンシートとなって、乗員一人ひとりの贅沢気分が高まる。
さらに「スカイライン」で先に採用された運転支援のプロパイロット2.0を装備した。
プロパイロット2.0は、レベル2の運転支援機能(走行のすべてにおいて運転者に責任がある)ではあるが、高速道路などでハンズフリー(ハンドルから手を放す)走行が可能になる。ミニバンとして世界初の搭載だ。
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