日産「セレナ」発売1年、なぜ存在感が薄いのか e-POWERとプロパイロット2.0がもたらす価値
トヨタの2車種は、2022年1月に新型を発売し、セレナよりも先にモデルチェンジを終えている。商品性に大きな変化はないはずなのに、なぜ新型セレナを上まわったのか。要因として考えられるひとつは、今なお各自動車メーカーが苦悩する部品調達の課題ではないだろうか。日産広報によれば、半導体不足は解消しつつあるが、セレナのe-POWER車は、受注から納車まで1~2カ月となっているようだ。
日産もトヨタもハイブリッド車を主力とする。日産のe-POWERは、電気自動車(EV)の動力・駆動系の機構をもとにしたモーター駆動であり、駆動用バッテリー車載量をEVに比べ減らし、ガソリンエンジンによる発電機能を備えるのが特徴だ。電気を主力とすることや、部品供給の事情などにより、半導体など電気・電子部品の調達の影響を受けやすかったのかもしれない。納車に時間がかかったとすれば、販売が伸び悩む数字となって現れるだろう。それでも現在は、ほかの電動車種が納車までに最大で4カ月かかっているので、セレナの生産はそれより改善されている。
新型セレナに限らずだが、ここ数年来の新車販売動向は、単に商品性や販売力といった従来の見方だけでは判断しにくく、各自動車メーカーの部品調達回復の進捗や、コロナ禍での納車遅れを取り戻すなどで大きく数字が上下する難しさがある。
新型セレナが持つ商品性とは
家族や仲間と移動するためのミニバン人気は、SUV(スポーツ多目的車)とともに国内では底堅い。新型セレナはどのような商品性をフルモデルチェンジでもたらしたのか、振り返ってみたい。
セレナ一番の魅力は、e-POWERといえるだろう。日産独自のシリーズ式ハイブリッドであるe-POWERは、現行ノートから第2世代へと進化した。改善の要点は、発電のため稼働するガソリンエンジンの存在をできるだけ乗員に意識させず、よりEV的な乗り味を拡大することにある。
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