紳助と谷のこんな会話から、漫才復活プロジェクトはM-1プロジェクトへと姿を変えた。
研究にも引導を渡せるシステムが欲しい
余談になるが、この時に紳助の言ったことが面白い。すこし長いけれど引用したい。
定年で引退したが、長い間研究に携わる教授をしていた。生命科学研究でも、そんな若手に引導を渡せるシステムがあればとつくづく思う。
これだけがルール、橋本とたった2人で決めたルールだ。ここからプロジェクトが一気に進んだ。というのなら、話は面白くならない。それとは真逆で、いきなりの行き詰まりを見せる。
まずはスポンサー探しだ。こういったストーリーには素晴らしいエピソードがつきものだが、最終的にスポンサーとなったカー用品メーカー・オートバックスの住野社長との面談のシーンがすごくいい。
気を遣ってネクタイをして行ったのに、いきなり「ぼくはネクタイを締めてる人間を信用してないんですわ」と言われてしまう。不安がよぎる中「大阪では漫才ブームが来ますか」と尋ねられた。そこで谷は一世一代のジョークをかます。「もう大阪には来てます。吉本の近くの千日前まで来ています」、「千日前のビックカメラの前まで来ています」、と。
なんやねん、それは……。しかし、それを聞いた社長は爆笑し、「じゃぁ、東京に来るのももうすぐですね」と快諾してくれた。それも、「そうですか、漫才ブームは千日前まで来てますか」と何度もうなずきながら。まぁ、ウソも方便、結果オーライだから許されるだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら