半導体で終わらない!富士通の「ハード切り離し」 新光電工をJICに売却へ、残る再編の焦点は?

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約300の子会社・持ち分法適用会社を抱える富士通が、以前から明確に“ノンコア(非中核)”と位置付け、売却の方針を掲げてきたグループ会社は3つある。いずれも株式上場しているFDK(富士通の保有比率は約59%)、富士通ゼネラル(同44%)、そして新光電工だ。

今回、新光電工の売却にメドがついたことで、構造改革が一歩進んだと言える。

3社の共通点は、ハードウェア機器の製造を手がけていることだ。FDKは産業用のリチウム電池やニッケル水素電池が主力で、空調機大手の富士通ゼネラルは売り上げの9割をエアコンが占める。

富士通の近年の主な事業再編

富士通は近年、「IT企業からDX企業に」というスローガンを掲げ、DX支援などの「サービスソリューション」分野に経営資源を集中投下している。一方、携帯電話端末やパソコン、スキャナー製造事業を相次いで売却し、ハードウェア製造から撤退する姿勢が明確だ。

ハードウェア製造を切り離す理由

このような経営方針は今に始まったものではない。田中達也氏の社長在任期間(2015年~2019年)中に示され、現在の時田隆仁社長の体制下でも引き継いできた。

ハードウェア機器の製造を含む事業は、工場建設などの莫大な設備投資が必要となるうえ、海外勢との競争が激しく、利益率が低くなる傾向にある。

FDKと富士通ゼネラルは、2024年3月期の営業利益率をそれぞれ0.7、4.7%と予想しており、富士通全体(同8.8%)の水準から大幅に見劣りする。新光電工は、従前2~3%台を推移していた営業利益率が2021年3月期以降、半導体需要の拡大を追い風として一気に10~20%台へと上昇した(2024年3月期予想は15.2%)。ただ市況変動の影響を受けやすく、営業利益の金額ベースでは前期から半減する予想だ。

2010年代半ばの富士通の営業利益率は3%前後だったが、事業再編に伴って改善が進み、時田氏の社長就任後は5~9%台を推移している。

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