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半導体基板の新光電工「5年後メドに再上場狙う」 親会社・富士通の元を離れて非上場化を選択

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新光電気工業の倉嶋進社長
くらしま・すすむ/1963年生まれ。1986年新光電気工業入社。2012年執行役員リードフレーム事業部長、2015年営業統括部長。マレーシア子会社社長などを経て2021年6月から社長(撮影:梅谷秀司)
 新光電気工業は、半導体の「パッケージ基板」で世界有数の企業だ。パッケージ基板とは、半導体チップを電子回路基板(マザーボード)に接続する際に使われる板状の材料。電気的な接続のほかに、外部の衝撃からチップを保護するような役割も持つ。
 新光電工の親会社は富士通。50.02%の株を富士通が保有してきたが、2023年12月にその売却を発表した。売却先は政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)となる。今年8月をメドにTOB(株式公開買い付け)が行われ、新光電工は上場廃止となる見込みだ。一連の買収総額は6850億円となる。
 JIC傘下入りはどのようにして決まったのか。また、主力のパッケージ基板でどのような成長戦略を描くのか。新光電工の倉嶋進社長に直撃した。

 

──JIC傘下入りを決めた経緯は?

親会社の富士通は半導体から撤退し、モノづくりの会社からソフトやサービスの会社へポートフォリオを大きく入れ替えてきた。

当社のこともノンコア事業として位置づけていて、これまで何度か売却の話があったようだ。正式に具体的な話があったのは私が2021年6月に社長に就任してからだ。

富士通のポートフォリオ刷新という点以外に、当社にとっては親子上場の問題もある。 独り立ちをしてこれから会社を発展させていくうえで、富士通の保有株を自己株取得するなど上場維持も含めて検討をした。

決して、業績が悪く救済を求めたということではない。あくまでも富士通が彼らのポートフォリオを塗り替え、われわれとしても親子上場を解消するという狙いで取った手段だ。

JICならサポートが中長期

──報道ではJICを含めて売却先の候補が4陣営あり、KKRなどアメリカの投資ファンドも候補として残っていたといいます。それらの候補とは新光電工としてもコミュニケーションを取っていたのでしょうか。

KKRなどとも何回か話をして、成長戦略についての提案も真摯に検討させてもらった。その中で、買収金額は当然のこととして、総合的に良い提案をJICに出してもらったということだ。

JICは政府系ファンドと言っても、あくまでプライベートエクイティファンド。しっかり投資先企業を成長させたうえで収益を上げるというのが彼らの大きなミッションだ。

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