株価急騰のNECがライバル勢に「逆転」する条件 PBRはようやく1倍超え、なお遠い富士通の背中

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株価が破竹の勢いで上昇しているNECだが、PBRや収益性の指標は富士通などの競合に依然として見劣りする(編集部撮影)

NECに対するマーケットの評価に異変が起きている。

NECの株価は9月、8400円台に到達し、17年ぶりの高値をつけた。10月11日の終値は7833円と、年初から約7割上昇。競合の富士通やNTTデータグループの株価は年初からほぼ横ばいで推移しており、NECの躍進ぶりが際立つ。

2023年に入って株価を大きく伸ばす転換点になったのは、4月28日の2023年3月期決算発表だった。国内向けのITサービスが牽引し、調整後営業利益は前期比2割増の2055億円と、会社が従来示していた業績予想を11%上回って着地するサプライズ決算だった。

同期の調整後営業利益率は6.2%と、前期から0.5ポイント改善しており、2024年3月期は6.5%とさらに利益率を押し上げる予想を発表した。これを受けて翌営業日の5月1日、NEC株の終値は14%高の5950円まで上昇。以降、株価は上昇基調を続けてきた。

利益率やROEはまだ競合に見劣り

順風満帆に見えるNECだが、競合のIT大手と各種指標を見比べてみると、依然として見劣りしている実態も浮かび上がる。

NECと富士通の株価比較

2023年3月期の実績ベースで、富士通の営業利益率は9%、NTTデータグループは7.4%と、NECを凌駕している。ROE(自己資本利益率)でみても、富士通は13.5%、NTTデータグループは11%と2桁を超す一方、NECは7.3%だった。

こうした収益性の低さを理由として、NECはマーケットからの評価が得られず、株価は長らく低迷していた。富士通の前期売上高はNECを1割ほど上回る程度だったが、時価総額では約3.6兆円の富士通に対してNECは約2.1兆円と、いまだ倍近い開きがある。

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