株価急騰のNECがライバル勢に「逆転」する条件 PBRはようやく1倍超え、なお遠い富士通の背中
NECの森田社長は、ITサービスと社会インフラを両輪とするビジネスモデルはあくまで維持する考えを示したうえで、「今後はITサービス専業の企業に逆転できる可能性もある」と自信をのぞかせる。

森田社長が自信を深める理由の1つに、NECが強みとする生体認証やセキュリティ、生成AIなどに関する技術を使い、ITサービスの付加価値向上につなげられると踏んでいることがある。
NECでは2023年7月に、自製のLLM(大規模言語モデル)の提供を開始した。こうしたNECならではの独自技術を用い、ドイツのソフトウェア大手、SAPなど海外企業のサービスなどと組み合わせたソリューション開発を強化していく考えだという。
SMBC日興証券の吉積和孝シニアアナリストは、「付加価値をつけた訴求や『選別受注』を強化すれば、ITサービスの採算改善の余地はまだまだある」と指摘する。
ITサービス以外でも、社会インフラ事業の採算改善が進む可能性がある。防衛関連の事業はかねて収益性の低さが指摘されてきたが、政府・与党では目下、防衛費増額に向けた議論が進み、2023年度からは防衛産業の利潤拡大を見据えた支援策を始めた。防衛市場拡大の恩恵を享受できるほか、利ザヤの改善を見込めそうだ。
研究開発投資は一段と引き上げる
NECは2026年3月期までの5カ年の中期経営計画で、売上高3兆5000億円、調整後営業利益3000億円の達成を掲げる。この9月末でちょうど折り返し地点を迎えたが、森田社長は「事業ごとに濃淡はあるが、全体の進捗としては順調」と説明する。
社会インフラの5G関連は国内外キャリアの投資停滞が尾を引いている一方、ITサービスは国内DXが当初の見込みよりも活況を呈し、業績が拡大しているという。組織再編や人事制度の改革を通じて現場の実行力を引き上げ、中計の達成確度を高めていく方針だ。
技術力を磨くため研究開発には一段と力を注ぐ意向で、「売上高研究開発費比率は段階的に4%台から5%前後まで引き上げていく」(森田社長)。
中計の目標をクリアするには調整後営業利益率を前期実績から2%以上伸ばす必要があり、市場関係者の間では今のところ達成に懐疑的な見方も多い。他のIT大手と一線を画す独自モデルが評価されるには、中計達成が1つの試金石となりそうだ。
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