4年でゼロ→58人「外国人採用」始めた会社の実情 入社を希望する訳、馴染んでもらうための工夫

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ちなみに、お2人へのインタビューは日本語で行った。回答も、もちろん日本語だ。外国人社員の採用によって、システムアイの社内の雰囲気は変わり、新たな文化が醸成されつつあるようだ。

「受け入れる社員の姿勢は、この3年で変わったと思います。当初は、社員にサーベイをとると、『海外の人をうちのプロジェクトに入れてほしくない』みたいな声がありました。でも、それは減っています。外国人と働いてもまったく問題はないし、ともに働くことに価値がある、ということを、みんなが少しづつ肌で感じているんじゃないかな、と思います」

日本企業では「多様性」を重視しようとスローガンのように語られる。しかし、それは掛け声ほどには浸透していない。一方システムアイは、実践を重ねることで多様性を実現しつつある。

ただ、やはり外国人を採用して、本当にうまく馴染むか、日本人社員と協働して成果を上げられるのか、疑問に感じる読者もいるだろう。

外国人を特別扱いはしない

外国人が会社に馴染めるよう、同社はどのような考え方と姿勢で取り組んできたのだろうか。

「外国人社員を特別扱いはしていません」。葛川さんは、こう説明する。「アファーマティブアクション(格差を是正する目的で一定の優遇措置を講じること)みたいなことは、個人的にはあまりやりたくないと思っていて、すべて公平にしていくというのが大事なことではないかと考えています」。

もちろん、受け入れにあたって、雇用契約書などを英語化して、外国人社員が簡単に読み書きできるようにするなど、手続き面での改善はしている。また、外国人社員の要望に応じて、人事部に英語の堪能なスタッフを配置するようにもなった。

ただ、業務面では、外国人も、日本人社員と同等にしている。「むしろ積極的に『日本語がもっと上手にならなければダメだ』と言って日本語で話しかけるなど、彼らにも成長してもらうために対応しています」。

受け入れる社員の姿勢は、この3年で変わった。「そこは、何かルールを作って接してもらうのではなく、カルチャーをつくることが大事だろうと思っています。半年とか1年とか長い時間をかけてちょっとずつ文化を浸透させていく、という考えです」。

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