4年でゼロ→58人「外国人採用」始めた会社の実情 入社を希望する訳、馴染んでもらうための工夫

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同社社長の葛川敬祐(くずかわけいすけ)さんは、「私が代表になった2019年時点で、外国人社員はゼロでした」と語る。

「何かターニングポイントみたいなものがあったわけではないのですが、技術的な幅を広げていこうと考え、高度なスキルを持つ人材が不足している現状を踏まえると、日本人だけに人材マーケットを絞っているのでは今後は成立しない、と徐々に思うようになりました」

システムアイ 外国人採用
システムアイ社長の葛川敬祐さん(写真:システムアイ提供)

もともとコンピュータ・システムの世界では「オフショア開発」という手法があり、賃金が相対的に安い海外の企業に開発の一部を委託することは珍しくなかった。

葛川さん自身、中国などから日本に来て働いている人とともに仕事をするということはあった。ただ、正社員として雇用するとなると話は違ってくる。日本人だけで構成されていた職場では戸惑いや混乱などもあったはずだ。

「最初に肌の黒い方が入社して来られたときは、社内が結構ざわつきました。でも、今はもう誰もそんなふうに思わないし、当たり前になってきています。それは『いいことだろう』と思っています。特に、IT系人材が足りないと言われている中で、狭い視野で生きていくよりは、いろいろな人と自然に働くことで、社員も成長するでしょう」

「あの頃」の日本メーカーの技術に憧れる外国人

現在58名の外国人社員を国籍別に見ると、中国16名、ミャンマー9名、韓国8名、アメリカ5名、フィリピン4名など、18カ国に及んでいる。

「徐々にですが、外国人が働きやすい会社なんだ、ということが認識されてきたと思います。採用戦略として、いろいろな媒体などで、海外の方が活躍されている、という露出をしているので、求職者が検索したときにそういう情報に当たるということが増え、『それなら安心』と思ってもらえているのだと思います」

素朴に疑問なのは、なぜ彼ら/彼女らは、日本で働きたいと思うのか、ということだ。

「理由は大きく2つに分かれるようです。欧米の方は『日本が好き』、もしくは日本人のパートナーがいる、というのが過半数を占めています。アジア系の方は、いちばんの優秀層はアメリカに行き、その次が日本。どちらかというとキャリアアップ、お金を稼ぐ、そういう目的のような気がします。欧米から来る方に関していうと、日本に憧れるというのに2種類あって、マンガ・アニメが好き、という人と、もう一つは日本の技術に憧れを持っている人。ホンダとかソニーとか、あの頃の日本メーカーの技術ですね」

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