「テスラ」にはあって日本企業に欠けているもの なぜ日本は世界からこんなに遅れてしまったか

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「t」を大きくしようと思ったら、デジタル化したりAIを使ったりするのは当たり前です。そうして初めて、「失敗してもいいからまず試してみよう」とか、アイデアをたくさん出さないといけないので「多様性が大事」とか「オープンイノベーションが大事」とか「フラットな組織じゃないとダメですね」といったマインドになる。

つまり、「t」を最大化しようとすると、自然とシリコンバレー的になるんですね。その意味で、日本全体で最大化すべき目的関数が間違っているのではないかと思います。

大事なのは「速く動く」こと

加藤真平(人間の能力拡張が専門、以下加藤):「技術」の話は突き詰めると「組織」の話になりますよね。1人で物を生み出しているわけではありませんから。例えばいい技術を作ろうとすると、何人かで取り組むわけですが、100年かけて結果を出しても意味がありません。だから早く結果を出すためには、どうやってコミュニケーションを取るかを考えることになる。すると、やはり組織の話になります。

私もベンチャー企業で、最初は技術の話をしていても、会議を重ねるうちに大抵は組織の話になっています。でも、いいものを作るためには組織の仕組みが重要で、天才が何人かいるよりも、組織をうまく作れる方がよりいいものができるんです。

でも、組織の話には興味がない人たちも多い。特に技術者などはそういう人が多いので、そこはジレンマだなと感じています。「組織の話はしたくないけど、しないといいものが作れない」という感じですかね。

松尾:大事なのは速く動くってことですね。日本の組織は階層が深すぎて、動きが遅いんです。イーロン・マスクの「テスラ」は時価総額1兆ドルを超えて、主要自動車メーカー上位7社を合計した時価総額より上だといいますよね。でも、テスラはディーラー(販売店)をほぼ持っていないんです。テレビCMを使わずに口コミでマーケテイングしているんです。

テスラは生産工場をロボットなどで自動化していますよね。実はPDCAのサイクルを速めようとすると、それがベストなんです。他の自動車メーカーはみんな性能をよくすることに注力して「r」を取りにいっているけれども、テスラは「t」を重要視する戦略をとっている。これを大きくすると、指数的に成長する。だから、他社はやはり負けますよね。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事