知る人ぞ知る保守組織「日本会」
〈日本会は、政財界の大物を世話人とする右翼暴力団で、スト突入後、数度全共闘、各闘委が脅迫されている。日本会の実態は、その世話人を見れば明らかである〉
巻末の資料にそう記された分厚い記録集がある。題して『新版 叛逆のバリケード』(日本大学文理学部闘争委員会書記局/『新版・叛逆のバリケード』編集委員会編)。原本は日本全国の大学で紛争が燃え盛る渦中の1968(昭和43)年10月20日、日本大学全学共闘会議(日大全共闘)書記長に就任した文理学部の田村正敏が提案し、自費出版された『叛逆のバリケード』である。
言うまでもなく全共闘は、60年代後半に日本各地の大学に結成され、それぞれが独自色を打ち出して学生運動を展開した。なかでも東京大学の東大全共闘と日本大学の日大全共闘による学生と大学側の熾烈な闘争には、警視庁が手を焼き、ある種の市民運動ブームを巻き起こした。
日大全共闘の『叛逆のバリケード』は、本の題名どおり文理学部を中心に校舎をバリケードで封鎖して大学執行部と対峙した日大新左翼学生たちのドキュメントである。2008(平成20)年9月30日に新版として改訂された。
そこに記された「日本会」は、日大が呼びかけて1962年12月に社団法人の認可を受け、設立された。知る人ぞ知る保守、右翼組織だ。社団法人から内閣府の認定する公益社団法人に改組され、今も存在する。ウェブサイトを覗くと、理事長の向野誠がこう挨拶文を寄せている。
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