起業を夢見る家族がChatGPTを使い号泣した理由 AIに代替できない人間の「創造性」を問い直す

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例えば2023年の春ごろにはAIによって描かれたネガティブな未来像に絶望し、命を絶ってしまった方のニュースが報じられました。自身のメンタルコンディションが悪い中で活用すると、一気に悪いほうにAIが促してしまう危険性があるのです。

一方で、生成AIにはポジティブな側面ももちろんたくさんあります。先日アメリカの同僚から次のような話を聞きました。彼の妹は、仕事をする傍ら起業を夢見ているのですが、彼と一緒にChatGPTを活用して、一夜で40ページに及ぶビジネスプランを作り出すことができたそうです。

そして、作り終えたとき、妹は泣き出したといいます。その理由は「誰かに助けてほしいと困ったようなときに、もう二度と孤独になる必要がない。忙しい兄を邪魔してしまう罪悪感を覚える必要もない」ということでした。

AIは気軽な「相談相手」

おそらく生成AIはたくさんの人にこのような安心を届けることもできているのではないでしょうか。「問いかける」ことには大抵、相手というものがいて、その相手への気遣いや遠慮もつきものです。それが今、誰もがパソコンでもスマホでも簡単に問いかけられる相談相手を得ることができたのです。これ自体は人間にとって望ましいことなのではないでしょうか。

生成AIという技術は、今後も私たちの生活に深く関わってくるでしょう。そして時には私たちの感覚の倍加装置となることもあります。そのため、この技術をどのように活用し、どのようにコントロールしていくかは、私たち全員にとっての大きな課題だということができます。

『問いかけが仕事を創る』(角川新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
野々村 健一 デザイン・コンサルタント

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ののむら けんいち / Kenichi Nonomura

慶應義塾大学卒業後、トヨタ自動車入社。ハーバードビジネススクールでMBA取得後、IDEOの日本オフィスの立ち上げに参画し、同支社代表兼マネジング・ディレクターを務める。国内外のさまざまな企業・団体のプロジェクトを手がける一方、ベンチャーキャピタルファンドD4Vの設立にもファウンディングメンバー兼パートナーとして関わる。現在は大手グローバルコンサルティング企業の執行役員兼パートナーとして新たな未来戦略×デザイン×イノベーション組織の立ち上げに挑戦中。名古屋商科大学大学院国際アドバイザリーボードメンバー。

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