《日本激震!私の提言》3年間のペアリング支援で地域主権の復興が可能に--石川幹子・東京大学大学院教授
--岩沼市の復興会議議長を務め、宮城県の復興会議にも参加している。今、現地では何が問題か。
東日本大震災に際し、日本全国から医師の派遣や物資の供給など多くの緊急支援が行われた。これはたいへんにすばらしいことだと思う。
しかし、被災後2カ月以上すぎた今は、本格的な復興に向けて舵を取らなければならない。インフラや住宅のすべてが失われたのだから、早く進める必要がある。そして民主主義の国なのだから、被災者が自ら考える地域主権の復興でなければならない。ところが、今の問題点は、これに取り組もうにも現地に人がいないということだ。現地の自治体は、行方不明者の捜索、がれきの処理、仮設住宅の建設といった仕事で手いっぱいで、時間、体力、気持ち、アイデアといったすべての面で余裕がない。そこで、ほかの自治体が被災地をそれぞれに受け持って長期的な復興を後方支援する「ペアリング支援」が必要だと考えている。
現地には復興に取り組む人材や時間の余裕がない
--「ペアリング支援」とはどのようなものか。
中国は四川大地震で500キロメートルもの広域にわたり町が破壊される未曾有の被害を受けた。そこで、国際社会に対し、アイデアや知恵を求める呼びかけを行った。世界から49のチームが応じ、日本からは私のチームが復興のグランドデザインを提案し、3年間支援を続けてきた。
中国が復興のために採用したのが「対口支援」だ。基本は自力更生で自ら計画を立てるが、被災地ではない省や市が特定の被災地を受け持ち、人的・資金的・物的支援を行うものだ。「対口」とは中国では誰もが使う普通の用語で、「ペアを組む」という意味。日本語にはないので、「ペアリング」と呼ぶことにした。この方法で中国では、小さな農村も見捨てないキメの細かい支援を行い、目覚ましい復興を実現した。