崖っぷちサマンサ「平成人気ブランド」3つの転機 客数減が続き「8期連続赤字」で経営は火の車

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10~20代女性を中心に支持を得て、平成の時代に急成長を遂げたサマンサ。苦境は以前から続いていたが、直近の同社の経営を振り返ると、「3つの曲がり角」があったといえる。

1つ目は、紳士服チェーン・コナカによる子会社化だ。コナカはサマンサの株式59.1%を所有している。

コナカによるサマンサの子会社化には、少々複雑な経緯がある。2019年6月、サマンサの創業者で当時約6割超の株式を保有していた寺田和正氏が、個人的な親交のあるコナカの湖中謙介社長に対し、サマンサ株31.3%を約34億円で売却。寺田氏はその後、代表権のない取締役に退いた。そして同年9月、湖中謙介社長個人が所有していたサマンサ株をコナカが全て取得して関連会社となった。

寺田氏が自身の会社の株式を放出した2019年当時、同社の業績はピークアウトしていた。2015年2月期に過去最高の純利益を記録した後、主力のバッグの販売不振などにより業績が低迷。2017年2月期から現在に至るまで、サマンサは7期連続で最終赤字から抜け出せていない。

コロナ禍で巨額赤字に転落

2つ目が、2020年からのコロナ禍だ。通勤や外出用のバッグが主力のサマンサにとって、外出自粛は大きな痛手で巨額赤字に沈んだ。グループ間の連携を強化して財務基盤の安定化を図るため、2020年5月にコナカがサマンサを子会社化。コナカ傘下だった「フィットハウス」(ブランド雑貨などの販売)をサマンサが吸収合併したことで、コナカの出資比率が59%に上昇した。

3つ目が、2022年5月に米田幸正氏(73)がサマンサの社長に就任したこと。米田氏は過去にスギ薬局を運営するスギホールディングスや、日用品メーカーのエステーで社長を歴任した人物だ。

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