キーエンスは「仕組み」ですべての課題を改善する チームのプロセスを数値化してマネジメント
先ほどは「電話の件数」を例に出しました。これは「行動の量」の改善です。しかし、「改善」には「行動の質」の改善もあります。
その場合は、件数ではなく、「転換率」を見ます。例えば、「面談」のうち何件が「案件化」に至ったかの割合、これが「転換率」です。
これが例えば前年同月の転換率よりも下がっていれば、それは「面談の質」が悪いという「行動の質」の問題点が浮かび上がります。
そしてその後の項で、チームの数値化で問題点を見つけた場合に改善を行うコツは、リソースの配分を検討することを優先して、その後でメンバーの教育を検討することだと結論づけました。
しかしこのように説明して終えてしまうと、「行動の質」の改善をしようとしたときに、リソースの配分とメンバーの再教育にばかり原因を探してしまうかもしれません。「行動の質」の改善は「行動の量」の改善よりもデリケートです。「行動の質」に問題があった場合は、いろいろな原因が考えられるためです。
個人のスキルやリソースではなく「仕組み」で改善する
そこでもう一つ、「行動の質」の改善を「仕組み」で行う例を考えておきましょう。ここでは人事における採用を例とします。
図表57は、人材採用の実績と「目標転換率」と「今日までの転換率」です。
「今日までの転換率」の上流プロセスを見ると、「書類選考」の転換率が64%と「目標転換率」の71%に対して大きく乖離しています。これは「応募」から「書類選考」に進める段階に問題があると判断できます。
つまり、応募者のうち書類選考に進めない人が多いことを示しています。このときに転換率が低い原因を分析する方法の一つとして、「応募」がエージェント経由なのか求人サイト経由なのかといった媒体別の転換率を確認する方法があります。
もし、エージェント経由で応募した人が「書類選考」に進む転換率が高くて、求人サイト経由で応募した人が「書類選考」に進む転換率が低いのであれば、エージェント経由の応募者を増やすことが改善につながります。
つまり、リソースの再配分です。しかし、よく考えてみれば、「求人サイト経由で応募してきた人についてもとりあえずは書類選考を行えばいいのではないか」という疑問が生じます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら