経営陣がやりがち「人員補充」が大失敗を招くワケ 遅延プロジェクトに増員すると、さらに遅れる謎
日本企業がITプロジェクトで抱える課題は、まさにブルックスが言う創造性と独創力の欠如である。「人月商売」では、創造性も独創力も求められない。この創造性なきITシステムが日本の産業界の競争力を削いでいる可能性が高いのだ。
スタートアップ企業が実現する創造性あるITシステム
これを裏付けるデータもある。IMD(国際経営開発研究所)が作成する「世界競争力年鑑」の2023年版で、日本の競争力総合順位は35位。日本は1992年に1位を維持していたが次第に順位を落とし、2019年以降は30位台が続いている。競争力年鑑では総合順位のほかに4つの大分類「経済状況」「政府の効率性」「ビジネス効率性」「インフラ」ごとに順位を出している。この4つの中で日本が最も低いのが「ビジネス効率性」で、2023年は47位だ。これはビジネス効率性を上げるべきITシステムが、価値を生み出していないことによる可能性が高い。
逆に日本で成長するスタートアップ企業は、ソフトウェアで差別化を図ることで伸びている。彼らがソフトウェア技術者に求めるのは、まさに創造性と独創力であり、成長するスタートアップは創造性があるITシステムを実現することで成長を果たしている。
たとえば「SmartHR」は企業の煩雑な人事・労務管理をスマホやPCで一気に簡単にする仕組みを構築し、企業に提供している。また「スマート修繕」は、マンション大規模修繕工事で、委託業者の見積もりが不透明で手間がかかるのに悩むマンション管理組合に対し、簡単・スムーズに問い合わせて最適な工事業者とマッチングさせる仕組みを構築し、提供している。
このように考えると、日本企業の再生は、スタートアップのITシステムから始まる、と言えるのかもしれない。
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