褒めない上司の中には、「自分が褒められた経験がないから」という人がいるが、それならば、この負の連鎖に自分が終止符を打てばいい。
「給料をもらっているのだから仕事はうまくできて当然だ。褒める必要などない」という人もいるが、あまり賢い理屈ではない。褒めたら、さらによい仕事をするかもしれない、と考えてみるべきだ。費用はゼロ、時間もほんの少しでいいのに、褒めない理由はないだろう。
リーダーとしてやるべきことは、部下の持つ能力をフルに発揮できるよう、モチベーションを高めることだが、ふさわしいときに適切なやり方で部下を褒めるのは、モチベーションを引き出すひとつの方法である。
褒める効果と注意点
褒めるのが苦手な人もいる。新任のマネジャーに特に多いのだが、新しいスキルなのだから、最初は戸惑うのも当然だろう。
気負わずに人を褒められるようになるには、とにかくやってみるしかない。やっているうちに簡単になるものだ。人を褒めたり、よい仕事を評価する際には、以下の点に気をつけよう。
具体的に褒める
特定の行動をまたやってほしい場合には、フィードバックの際に、その行動を具体的に伝えることが重要だ。より詳細に伝えれば、それだけ同じ姿勢や行動を繰り返してくれるようになる。
「先週よかったよ」と言うだけではなく、「先週は、あの難しい状況で本当にうまく交渉できたし、判断もよかったよね」と伝えるようにしよう。
影響を伝えよう
たいていの人は、自分の仕事が部門や組織の目標に貢献した度合いや、事業の全体像の中で自分の果たした意義などを知りたいものだ。こうした影響があった場合には、部下の業務のおかげで部署外にもよい効果が出たことを伝えておこう。
褒めすぎてもいけない
むやみに褒めてばかりいると、発言のインパクトが薄まり、部下に不信感さえ持たれてしまう。「この上司に褒められても価値がない」と思われないためにも、褒める価値があるか、内容が見当違いでないかには気をつけておこう。