佐宗:知とノウハウの共有による発展、まさにオープンソースですね。IT業界の発展のプロセスとも近いですね。
オープンソース的発展を遂げた日本のプロダクト
孫:そうなんです。僕の故郷、福岡の名物「明太子」も実はオープンソース的発展を遂げたプロダクトなんですよ。最初に作った人が「これ、うまいよ」ってみんなに配って、あえて製法特許をとらなかった。結果、いろんな人がちょっとずつ味を変えて明太子を作って売るようになって、今や福岡土産の代表格になっている。ノウハウをシェアするカルチャーは、クリエイティブなエコシステムには不可欠な要素である気がしますね。
佐宗:面白い! 熊本の黒川温泉も、個々の温泉宿がそれぞれで管理していた仕組みから、すべての宿が温泉を共有して盛り上げる仕組みに変えたことで、一気に地域全体が盛り上がるようになったと聞きました。
孫:「あの地域にいけば、いろんなことが吸収できるらしいよ」と評判が広まれば、若い才能がどんどん集まって、さらに高め合いの循環が起きますよね。
だからこそ僕の関心は、「学校」という狭い枠ではなく、「クリエイティビティを発揮させる<環境デザイン>はどんなものなんだ!?」って方向に向かっていくんです。
(構成:宮本恵理子)
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そん たいぞう / Taizo Son
日本の連続起業家、ベンチャー投資家。大学在学中から一貫してインターネットビジネスに従事。その後2009年に「アジア版シリコンバレーと言えるようなスタートアップ生態系をつくる」という大志を掲げ、ベンチャー投資活動やスタートアップの成長支援事業を開始。そして2013年、単なる出資に留まらない総合的なスタートアップ支援に加え、未来に直面する世界の大きな課題を解決するための有志によるコミュニティMistletoeを設立。
社会に大きなインパクトを与えるスタートアップを育てることをミッションとしている。
佐宗 邦威
多摩美術大学特任准教授、戦略デザインファーム「BIOTOPE」代表
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さそう くにたけ / Kunitake Saso
東京大学法学部卒。イリノイ工科大学デザイン学科(Master of Design Methods)修士課程修了。P&Gにて、ファブリーズ、レノアなどのヒット商品のマーケティングを手がけたのち、ジレットのブランドマネージャーを務めた。ヒューマンバリュー社を経て、ソニークリエイティブセンター全社の新規事業創出プログラム(Sony Seed Acceleration Program)の立ち上げなどに携わったのち、独立。『直感と論理をつなぐ思考法』『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』著者。