エネルギー安全保障のために再生可能エネルギーの育成を
東京電力福島第一原子力発電所事故の状況は、いまだに予断を許さない。国民の不信感が高まる中で、原発は、いかに安全に寿命を終えさせるかが課題となり、長期的な電力政策からは外さざるをえない。一つの事故がかくまで大きな影響を及ぼすに至ったのは、わが国が、地域独占に安住した電力会社による電力の安定供給に依存しすぎたためだ。
電源の多様化と分散化は、今後の日本の産業の事業継続の点からも、極めて重要な課題となった。
再生可能エネルギーで電源分散を
当面は、稼働中の原発など既存設備と休止火力発電所の再開、小型発電機の導入、需要側の節電などでしのぐことになるが、いつまでもこの状態を続けるわけにはいかない。大震災とそれに続く原発事故の被害の大きさから、現時点では日本のCO2排出量拡大を大目に見ている諸外国の目も、早晩厳しくなるだろう。
「埋蔵電力」といわれる、企業が保有するコージェネや、製鉄や製紙などの産業の副産物としての発電は、能力6000万キロワットともいわれているが、これまでにも一定量を大手電力会社向けに売電しており、新規電源としての純増部分は、決して多くはない。重油やLNGを用いた火力発電が多いのも気になる。
さらにもう一つ忘れてはならないのが、エネルギー自給率の問題だ。現在、日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に依存している。比較的クリーンといわれ、CO22削減でも有望視されているLNGは、カナダ、豪州、インドネシア沖、サハリン1、2などが主な調達先だが、不安定なエリアへの依存にはリスクが付きまとう。エネルギー調達のリスク回避の観点からも、第3のエネルギー源開発は重要な課題なのだ。
そこで急浮上しているのが、再生可能エネルギーだ。太陽光をはじめ、風力、地熱、バイオマス、と多様な形態があり、CO2を増大させない。だが、これらが賄っているのは総発電量の1%未満。現状では過大な期待ができる状況にはない。