年末の「音楽特番」、旧ジャニだらけの気になる事情 くっきりわかれるテレビ局の対応から見えるもの

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日本テレビに対する批判の声がワンランク上がったのは、11月27日に行われた定例会見における石澤顕社長と福田博之専務のコメント。11月22日に「被害者へ補償内容の連絡を開始した」などの救済がはじまったことを確認しつつ、それがさらに進まなければ新たな契約はしないという方針をあらためて明かしました。ここまではNHKとほぼ同じ対応であり、批判される要素はないでしょう。

しかし、それならなぜ「ベストアーティスト2023」に計6組もの所属タレントが出演するのか。石澤社長と福田専務は、レギュラー番組と同様の扱いで新規契約には当たらないという基準を明かしたほか、「新しい契約については境目をつけることが難しいものもある」などと釈明しました。

さらに、「(音楽特番の出演者選考や契約などの基準が)NHKとは考え方が違うかもしれない」「SMILE-UP.の対応が進んでいることを確認できている」などのコメントもあって、「それはおかしい」などと異議を唱える声が続出しています。

SMILE-UP.の被害者救済と新体制構築の進捗度、新規契約と継続契約の区別。「この2点の解釈が日本テレビにとって都合のいいものになっている」「被害者救済や再発防止より自局の利益を優先させている」ことが批判の主な理由なのでしょう。トップ2人のコメントは、「NHKのような境目はつけようと思えばできるけど、営利企業である民放はそんな簡単には割り切れない」と開き直っているように見えてしまうのかもしれません。

実際のところ、「SMILE-UP.の被害者救済と新体制構築が進んでいるか」と言えば、まだ「NO」と答える人が多いのではないでしょうか。SMILE-UP.は1日に23人への保証金支払いが完了したことを公表しましたが、300人超の補償請求、500人弱の被害連絡があったというだけに、「ようやく第一歩を踏み出せた」という段階に過ぎません。

また、被害者からのコメントが少ないことも進捗の遅れを感じさせられる理由の1つ。SMILE-UP.の被害者救済を受けて「満足」「不満足」どちらの声もなかなか聞こえてこないのは「遅れているからだろう」とみなされているのです。それどころか、「ジャニーズ性加害問題当事者の会に所属していた男性が、誹謗中傷や事務所から連絡がなかったことなどに苦しんで自死した」と報じられた件がスルーされていることに違和感を覚えている人もいました。

検証番組も「ポーズ」に見える

11月26日早朝、TBSは旧ジャニーズ事務所の問題に関する検証番組を放送しました。

これは10月7日の「報道特集」に続く2度目の検証番組であるうえに、TBSホールディングスが特別調査委員会を設ける形であらためてヒアリングを行い、報告書の全文をネット公開。さらに安住紳一郎アナが総合司会を務める「THE TIME,」でも大きく扱うなど、他局とは一線を画す姿勢を見せました。

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