「3000回ほどクマに遭遇」専門家が語る対処法 襲われることが確実となった場合は首を…

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23年7月に都内で写真展を開いた日本ツキノワグマ研究所の米田一彦氏(写真:沢田直人)

クマによる人的被害が連日相次いでいる。環境省によると、北海道や東北地方を中心に目撃・出没が多発。23年は06年から始めた観測史上最多となった。専門家は一因として今年の「記録的な酷暑」を挙げ、3歳ほどの「ヤングママ」の雌グマが多く出没したと指摘した。暖冬なら12月ごろまで、被害が続く可能性があると予想する。また、クマの駆除に対する悪質なクレームも顕在化。クマと人の生活を取り巻く問題について、専門家に聞いた。

町に出没するクマは「緊張している」

日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦氏(75)は、クマによる人的被害が増えた理由について、酷暑が影響していると推察した。餌となる木の実などが凶作のため、クマは冬眠に備えて餌を求めて人里に下りてくるようになった。森林の保続培養を行う林野庁の地方支分部局「東北森林管理局」(秋田市)の調査では今年、管轄である青森、岩手、宮城、秋田、山形の東北5県全てで、クマの好物であるブナが「大凶作」と判定された。米田氏によるとブナのほか、ドングリやキイチゴも凶作だったという。

米田氏は今秋に人里に多く出没したクマを「ヤングママ」と称した。山ではクマ同士の縄張り争いが繰り広げられている。大きくて強く、経験のある雄のクマは餌が豊富な山の奥にいるが、3歳ほどの若い雌のクマは人里近くに追いやられているという。米田氏は「年々増えたヤングママのクマは、人が耕作している近くで暮らしている」と分析。市街地では子連れの母グマが目撃されていた。

町に出没するクマについて米田氏は「クマは元々森林にいる動物だから、平野部に出てくる時点で緊張している」と話した。「歩いているクマはほとんどいない。とっとっとって走っている。これは興奮状態で森に帰りたい様子」と語り、「クマは町の中の神社や公園、屋敷の木々に潜りたい。その前に人間に遭遇するとガツンとやるわけ」とクマの特性を説明した。

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