100周年記念作が描く「ディズニー映画の本質」 CCOが語る、新作「ウィッシュ」で伝えたい想い
――映画を見た人は、彼の選択について考えさせられるでしょうし、この部分が特定の地域の出来事と重なって見えるのかもしれません。
描きたかったのは、人類史における人間そのもの。私はそのときの時代性をタイムリーに映す映画が好きです。本作は、複雑ないまの世界をタイムリーに描いており、リーダーやコミュニティーの大事さという時代性も有していますが、物語のなかでどこかの社会やカルチャーを具体的に指してステートメントを発信したい気持ちは一切ありません。これまでにもディズニーはそれをしてきたことはありません。
いまの世界が不安定だからこそ、分断ではなく対話を通して世界はつながることができる、といったメッセージを込めた映画を作りたいと思っています。
――本作を見る大人に対しては、子どもたちの未来を作っていく責任があることが問われているように感じました。
世代に関係なく、そう感じてほしいです。大人はいつのころからか、子どものときのような想像や遊び心がなくなり、願い事を忘れてしまっている。でも、願い事は、自分にインスピレーションを与えてくれます。大切な自分の一部です。
だからこそ、本作がそれを思い出すきっかけになってほしいと願っています。劇中のサビーノは、100歳でこれからの願い事をします。年齢を重ねていくつになっても、願い事をすることにも、願いを叶えようとすることにも、遅いということはありません。
そして、そういったきっかけは、喜びにつなげていける。そこには希望がある。それこそが、まさにディズニーが100年をかけて伝えてきたこととつながっています。
――ディズニーのクリエーティブの最高責任者として、ディズニー映画の“ディズニーらしさ”とはどういうところだと考えていますか?
とにかく希望です。それがあって、光がある。どんなにすばらしいおとぎ話でも、必ず葛藤や向き合わなければいけない困難なことが起こります。それが人生ですから。
ディズニー映画は希望と可能性を伝える
ディズニーの映画は、そこにどう向き合ったらいいかを教えてくれ、自分自身のなかに喜びを見つけることを思い出させてくれます。
そして、挑戦があったとしても、恐れずに向かっていく。不可能ではない、なんらかの達成するための方法があると感じさせることが大切。それを伝えるのがディズニー映画です。
希望と可能性があり、自分のなかにある童心を持った子どもとつながれる。まさにこの100年の歴史を私たちが振り返ったときに出てきた言葉がそれでした。
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