100周年記念作が描く「ディズニー映画の本質」 CCOが語る、新作「ウィッシュ」で伝えたい想い

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――2019年にCCOに就任されてから、それまでのディズニーを変えようとしたことはありますか。

架け橋を作っていきたいと考えました。新しい世代のクリエーターだけでなく、いろいろなバックグラウンドの多様な才能にあふれる人たちが、それぞれ違った声を持っているので、それをもっと表現できる場を作っていきたいと思いました。

才能は普遍的ですが、機会とアクセス(さまざまな仕事への登用)は普遍的ではありません。アクセスを作ることを積極的に推進し、いまはかつてないほど多様なリーダーシップがあるスタジオになっています。

女性の登用も多いですし、さまざまな人種の多様な文化と声を持つアーティストたちが集まって物語を作っているため、作品がより豊かになっていると思います。

そういった多種多様でユニークな声を耳にするからこそ、私たちは世界をより理解することができます。これがいちばんの自分のゴールでした。実際にもう実現しているのですが、進化をさらに続けていきたいです。

ウィッシュ ディズニー100周年
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのCCO、ジェニファー・リーさん(撮影:今井康一)

――100周年を転機として、ディズニーの過去の100年と未来の100年で変わっていくことはありますか?

変わらず進化し続けるでしょう。ウォルト・ディズニーが唱えていたのは、つねにストーリーテリングを革新させ、進化を続けること。急に何かが大きく変わることはないと思いますが、持続的に成長を続けていきたいです。

世界は激変していますが、そうしたなかでも、新しい世代のフィルムメーカーたちがとてもすばらしいストーリーのアイデアをたくさん持っているので、そのことにワクワクしています。

見た人にいろんな願いを持ってほしい

――リーさんがディズニーで叶えたい夢を教えてください。

本作を通してインスピレーションを受けた方々が、改めていろいろな願いを持ってほしいと思っています。そこから、この先の100年でまだ語られていないたくさんのユニークなストーリーが生まれてくるかもしれないから。

――次の100年後のディズニーはどうなっていますか?

いまと同じように、密にコラボレーションをして、イノベーションを起こすようなストーリーテリングがされていればうれしいです。ディズニー以外の映画も含めて、その時々の世界でいろいろな映画が光となって、希望のある未来につながっていったらいいなと思います。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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