鹿児島「鉄道廃止」と関係なく発展した街の現在 旧大隅線古江―志布志間、人口約10万の鹿屋市

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吾平や高山を経由しない垂水港―鹿屋―志布志間の系統は、今回のダイヤ改正では大きな変更はなく、朝夕は1時間2本程度。日中も1時間から1時間半に1本程度の運転が確保されている。志布志港まで足を延ばすバスがあるのは、大阪南港―志布志間の商船三井さんふらわあのフェリーとの接続のため。ただ、乗車した時点では、ほかに利用客はいなかった。

志布志港行きバス
串良に到着する志布志港行き(筆者撮影)

串良バス停も町中の狭い旧道にある。串良川を渡って東串良町の中心部も通り、国道220号に合流すると、後は整備された道を、志布志まで一直線に進むだけになった。両側には、ロードサイド店が次々に現れる。途中、道の駅や宿泊施設などが一体的に整備された「あすぱる大崎」の中に入るが、乗降はない。

フェリー接続バスもお得意様は高校生

内之浦方面からの国道448号が合流すると、ほどなく志布志の市街地。元国鉄志布志線との立体交差を過ぎて、15時30分に着いた志布志高校前で高校生が一斉に乗ってきた。閑散としていた車内が、志布志駅前までわずか4分間のにぎわいを見せた。

志布志駅跡の商業施設
大隅線や志布志線が乗り入れていたころの志布志駅の跡は商業施設になった(筆者撮影)
(筆者撮影)
唯一残った日南線の志布志駅(筆者撮影)

串良―志布志駅間は610円。大隅線、志布志線、日南線が乗り入れていた広い志布志駅跡は今、ショッピングセンターになっており、宮崎方面へ向かう列車の小さな駅だけが、その脇にたたずんでいる。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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