鹿児島「鉄道廃止」と関係なく発展した街の現在 旧大隅線古江―志布志間、人口約10万の鹿屋市
旧鹿屋市の小規模版のようにロードサイド店が増えると肝付町だ。24時間営業のスーパーマーケットすらあった。北流する高山川を渡って右岸に入り、県道を外れて旧道に入ると13時16分に高山到着。480円だった。
わずかな下車客は皆、ICカードをタッチして降りる。鹿児島交通をはじめとする、いわさきグループでは独自の交通系ICカード「いわさきICカード」を販売しているが、Suicaなど全国相互利用共通ICカードは使えない。
高山バス停は、昔はにぎわっていたであろう商店街の中にある。大隅線は高山川を渡らず、左岸に駅を構えており、ここで再び進路を北に変えていた。途中、肝属川で区切られているためか、肝付町と旧串良町の間の交流は、高校生の通学を除けばわずかなようだ。
需要に応じて分断された“代替バス”
高山と串良の間を走る鹿児島交通のバスは、取材時には朝と夕方に各2往復ずつ、土休日は1日1往復しかなく、次の高山発は16時26分の志布志駅前行きであった。この上下各4本はいずれも鹿屋―志布志間の運転で、うち1往復だけはバスの運用の都合か垂水発着だった。ここも2023年10月改正で1日2往復に削減された。
丹念に大隅線の跡をたどるなら、高山―串良間も乗るべきかもしれないが、鉄道廃止から40年近くが経過した今となっては、路線バスに大隅線の輸送を代替する意味合いはもはやない。地域ごとの需要に応じて、再編されている様子がわかった。こちらも3時間以上は待っておれず、タクシーを呼んだ。途中の風景は、これまでととくに変わるところはなく、平坦な県道を快走するだけだ。
串良では公園風にしつらえられている串良駅があった場所と、串良駅跡を名乗るバス停を眺め、14時59分発の志布志港行きを待つ。
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