日本人の給料が上がらない「物凄く根本的」な理由 椎茸と松茸でわかる「賃金が上がらない」深い訳
「お金の本質を突く本で、これほど読みやすい本はない」
「勉強しようと思った本で、最後泣いちゃうなんて思ってなかった」
経済の教養が学べる小説『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』には、発売直後から多くの感想の声が寄せられている。本書は発売1カ月で8万部を突破したベストセラーだ。
著者の田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会をつくることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、なぜ日本人の賃金が上がらないのか、椎茸と松茸の比較から解説する。
もともと松茸より椎茸のほうが高価だった
国内産の松茸はもはや絶滅危惧種と言っていいかもしれない。温暖化の影響などから収穫高が減っていて、毎年のように高騰している。スーパーで見かけることさえ少なくなった。
一方で僕らがいちばんよく食べているキノコは椎茸ではないだろうか。これからの鍋の季節、欠かせない具材の1つである。
この庶民の味方的な存在の椎茸だが、じつは100年前は松茸よりも高価だった。松茸が100gあたり8銭(0.08円)の一方で、椎茸は39銭(0.39円)である。
どうして椎茸が安くなったのかを考えると、物価と賃金の関係が見えてくる。
この話を聞いてまず気になるのは、当時の1円は現在のいくらに匹敵するかというところだろう。当時と現在の物価水準を比較すればすぐにわかりそうだが、実際に計算しようと試みて、一筋縄ではいかないことに気づく。
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