地図にない?埼玉「見沼たんぼ」江戸から続く理由 多くの開発計画を乗り越え「江戸の景色」残った

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山口さんは仕事で欧州、アメリカと日本を行き来した経験を活かし、ゆくゆくは外国人も案内したいと思っている。

見沼たんぼ地域ガイドクラブが設立されたのは2011年5月。前年の2010年5月から1年間の研修を受けてガイドになったのが1期生。ガイドクラブの現在の会長、黒澤兵夫(くろさわ・たけお)さん(70代)は1期生だ。

見沼たんぼ地域ガイドクラブの黒澤兵夫会長(撮影:河野博子)

会員は現在28人。仕事や家庭の都合で、実際にガイドに立つのはその半数という。昨年秋、しばらくぶりに4回目の会員募集を行ったほか、新しい仕組みを作った。

「昨年秋に募集した4期生に応募してきたのは10人でした。半年間の研修に出られない人向けに、テキストを勉強していただき、試験を受けてガイドになってもらうルートも作りました。3人が応募して、試験をパスしました」(黒澤さん)

ガイドクラブのメンバーがコースや案内内容を練る企画コースと、団体が何月何日にここを見たいと申し込む一般ツアーの2種類がある。3時間のツアーの場合、一人300円の参加費(資料代を含む)が必要だ。

水田はわずか6%

黒澤さんは大手通信機メーカーに勤務後、技術士として各種学会に関わるほか、農家、市民、行政で連携して農業を発展させていこうという「さいたま市ランドコーディネーター協議会」の会長も務める。

「農業をきちんと続けることが、これまで以上に重要になっています。(輸入は)紛争や戦争の影響を受けるでしょう。日本人が今後、生きていくためには、最低限必要な農産物はできるだけ国内で作るという方向が必要です」と黒澤さんは強調する。

見沼たんぼの土地利用をみると、水田は6%に過ぎない。所有者が高齢化や代替わりで耕作できなくなった場合、住民が支援する取り組みもある。

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