その代替手段がバスへの転換だが、社員の労働時間の規制が強化される「2024年問題」の前からこれだけ人手不足による運休や廃止が続くと、いずれ鉄道も消え、代わりのバス路線でさえ維持できないという、「移動の空白地帯」が各地に生まれてくることが予想される。
筆者は、勤務先である千葉県の大学へ通うために、2022年秋に開業した「バスターミナル東京八重洲」をほぼ毎日利用している。5分おきくらいに次々と発着する高速バスを見ていると、その隆盛ぶりが際立って感じられ、全国的な運休・廃止の傾向を直接、読み取ることはできない。
しかし、実際のところ、東京駅のバス乗り場を見ているだけでは気づかない事態が進行しているのだ。2023年の廃止路線をリストアップしていくと、そのことを改めて思い知らされる。
明るいニュースもあるけれど…
もちろん、暗いニュースばかりではない。2024年3月に予定されている北陸新幹線の敦賀延伸により、名古屋・大阪と福井・金沢の間は、鉄道の場合、敦賀で在来線特急と新幹線を乗り継がなくてはならなくなるが、JRによる北陸道ハイウェイバス(名古屋~福井線)を現在の8往復から、12月には10往復に増便する。
まだまだ、こうした「攻めの経営」が見られることに少し胸を撫でおろしたくなるが、担い手不足が解消されない限り、こうした縮小傾向は続くであろう。
同じく運転手不足に悩むタクシー業界では、地方を中心にライドシェアの解禁などの施策が検討されているが、地域の足の担い手であるバスの運転手をどう確保するかは、一事業者だけでは解決できそうもなく、より広い事業体や自治体、国などによる総合的な対策が必要となってきている。
根本的な解決法に着手しなくては、ごく限られた黒字の路線以外、国内から公共交通機関が消えていきかねないのだから。
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