このひろおサンタ号は、これまで「広尾を朝出て昼前に札幌に着く便」と「午後札幌を出て夜広尾に着く便」による往復便が、広尾地方と札幌を直通で結ぶ唯一の交通機関として重宝がられていた。
国道236号線を通って浦河町に出たあと、途中から日高自動車道に入って、一気に札幌までを走る260kmあまりの長距離路線である。
しかし、コロナ禍による需要の低迷に加えて、JR北海道バス運転手の相次ぐ退職なども重なり、2023年11月から当面の間、運休となった。「運休」とはいえ、実情を考えるとそのまま廃止に繋がりかねない状況である。
このバスがなくなると、広尾周辺から道都・札幌への利用者に、時間の面でも運賃の面でもかなり影響を及ぼす。
ひろおサンタ号は広尾6丁目を始発として広尾駅を6時40分に発車、札幌駅前に11時20分に到着する。運賃は片道5190円(往復では8390円)となっている。
サンタ号が使えないとすると、ほぼ同時刻に発車する帯広駅行のバス(広尾営業所6時44分発)に乗り、帯広でJRの「特急おおぞら」に乗り換えるルートとなるが、これだと札幌着は12時23分。サンタ号より60分程度遅くなり、運賃・料金は片道9000円を超える。
重要な幹線路線「札幌~函館」も減便に
北海道では、北海道新幹線の延伸による並行在来線の函館本線「小樽~長万部間」のバス転換構想が既成化しているが、青息吐息のバス会社の状況を見れば、そのバス路線の引き継ぎ手があるかどうかという根本的な課題が突き付けられており、先行きが不透明になってきている。
北海道では、札幌~函館間というかなり重要な幹線路線でも、今年10月から減便となった。
これまで道南バス、函館バス、北都交通、北海道中央バスの4社運行であったが、9月で道南バスが撤退。もともとは8往復で運行されていたが、それが6.5往復となり、今回4往復に縮小され、夜行便も廃止された。北海道新幹線札幌延伸と競合する路線だが、新幹線開通前に消えゆくのかもしれない。
全国に目を転じても、この秋以降、高速バスの運休や廃止のニュースが相次いでいる。
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