「無印良品」あえて過疎地で大型店を出した意味 無印良品はいかに「土着化」しているか(1)

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大型ショッピングセンターは車社会が前提だ。やがて、高齢化が進むと運転できない人が増え、歩いて行ける近所のスーパーに行くしかない。でも、競争に敗れ、すでに消えている店が多い。これでは、高齢者は「買い物難民」となっていく。

また、進学・就職を機に若者は都会を目指す。故郷に戻ろうにも、人口の減り続ける地方では就職先があまりない。結局、都会で子育てをするため、地方の小学校の入学者は減る。

子供が少なくなると、地域コミュニティはしだいにしぼんで行く。悪循環だ。

路線バスを運行する会社からの相談

かつて直江津は、江戸時代から始まった北前船の港として栄えた。また、鉄道の北陸本線と信越本線が交差する主要駅で、すべての特急列車が止まった。海岸沿いに工業地帯も発展していた。 

エルマールは、地元のバスを運営する頸城(くびき)自動車の所有地に、イトーヨーカ堂が核テナントとして開業。河川改修事業で立ち退くことになった、直江津中央商店街の65の店もこの中に移った。

地元の人が集うショッピングセンターとして賑わっていたが、高齢化と少子化の影響をしだいに受け、人口減少が加速度的に進んだ。せっかく開通した北陸新幹線も、直江津には通っていない。

良品計画会長の金井は2018年北陸で講演を行った。この時、上越地方で路線バスを運行する頸城自動車の幹部からイトーヨーカ堂撤退に関する相談を受けた。大型ショッピングセンターの事業を手掛けたことはなく、回答のしようもなかった。東京の他の企業に進出の可能性を尋ねたが、どこも難色を示す。

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