「無印良品」あえて過疎地で大型店を出した意味 無印良品はいかに「土着化」しているか(1)
大まかな内装は決まったが、広大なスペースを、どう埋めるのか古谷は悩んだ。これまで、無印良品は商業施設のテナントとして出店することが多かった。ところが、今回は管理する敷地を埋めるテナントを募集するという、逆の立場の未経験の事業だ。
手探りの中、ぜひ若者に来てほしいと考えスターバックスを思いつく。不慣れな出店依頼に出かけた時、古谷たちは思いがけない困難に出会う。
同社はコーヒー店開設の目安として、人口約10万人に対して1店舗となっているらしい。ところが、人口20万人を切る上越地区にはすでに2店あり、これ以上の出店は難しいと言われた。
逆転の発想で「コーヒーを飲める本屋」に
古谷たちは知恵を絞った。もともと、広いスペースなので、大きなMUJI BOOKSを作りたいと考えていた。中央部分をうねるような形で書棚を並べたかった。
「そんな大きな本屋の採算は合わない」
と言われ、規模は縮小したが、くつろぎながら本を読めるソファーを置いた。そして地元の絵本作家の作品をモチーフにした壁紙をはった。
「コーヒー店が無理なら、MUJI BOOKSの一角にスターバックスを飲めるスペースを作ればいい」。この逆転の発案は受け入れられ、無印で初めてのコーヒーが飲める本屋ができた。
同様に知恵を絞り、世界の食材を扱うカルディや、贈答品で有名な長野発祥の久世福の出店も実現したが、ここからも困難は続いた。次回は都会から来た企業人が地方にいかに溶け込んでいったか、その苦労を見てみたい。
(敬称略)
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