ドローン少年騒動、問題の"根っこ"は何か 「人のうわさも75日」の時代は終わった

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アルバイト先の商品を損なう迷惑行為、無免許運転中の撮影など、短絡的な行動を画像や動画で配信してしまい、それが人々の怒りに触れれば、あっという間に拡散するだけでなく、本人や家族の個人情報がさらされ、何十年も残ってしまう危険があるのです。もちろん、逮捕や損害賠償請求にもつながるでしょう。

それらの残痕は、もはや「若気の至り」で済まされるものではありません。就職や結婚など、さまざまなライフイベントにも悪影響を及ぼし、「後悔先に立たず」と呆然とする日がやってくるかもしれません。

それでは、「女子中高生が熱狂する『ミックスチャンネル』」などはどうでしょう? カップルがキス動画などを上げることは、決して違法行為ではありませんが、投稿者の中には、こうした動画がずっと残り、拡散していく恐怖を感じる人が出てくるかもしれません。いずれにせよ、軽はずみな投稿が大きな後悔につながる可能性はあります。

もうひとりの自分に「実況中継」させよう

そうならないために、アンガーマネジメントでできることを考えます。アンガーマネジメントの理論背景のひとつに、認知心理学があります。その認知心理学の中には「メタ認知」という捉え方があります。

「メタ」とは「変化した」という意味で、自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動を言います。つまり、頭の中にいる「もうひとりの自分」に、自分のことを監視・コントロールするために、実況中継させるのです。こうした力を「メタ認知力」といいます。

メタ認知力が高い人は、「この判断は、現在の感情の影響を受けていないか?」と自分に問いかけ、賢明な判断をします。「今、オレは冷静か?」「酔った勢いではないか?」「誰かに迷惑はかからないか?」などなど、つねに問いかけをする習慣をつけましょう。

それから、大きく深呼吸したり、上下左右に首を動かしたり、手をグーパーさせるなどすることで、衝動的な言動にワンクッション置くことができ(ディレイテクニック=反応を遅らすための技術)、視野の狭まりによるミスを防止することも可能です。

こうしたことをルーチン化し、自分の中で必勝パターンを構築できれば、短絡的なミスを減らすことができます。ルーチン化にするには、日々実践すること。諸説ありますが、3週間かければ「習慣」を作れると言いますので、メタ認知力やディレイテクニックの向上・定着のために、実際にやり続けることをオススメいたします。

この連載では、私たちの持つ「べき論」が目の前で裏切られることで、その裏切りの程度により、さまざまな怒りとなって表出することを繰り返してきました。そして、「ドローン少年」にしろ「つまようじ少年」にしろ、投稿の根底には強い「承認欲求」があるように思われます。

次ページ報われない「べき論」を誇示すると…
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