(新連載・第1回)条件が変わったのに考え方はもとのまま


 本来は、グローバルな視点に立って復興を考える必要があるにもかかわらず、その視点なしに復興を進めようとしているのだ。この結果、経済政策が、本来必要とされるのとは逆の方向を向き、復興を阻害するだけでなく、日本が生まれ変わる芽を摘んでしまうことになる。

グローバルな視点から復興を考える

震災による条件変化を考慮すれば、次のような方向付けが必要だ。

(1)国内の産業構造を、これまでと同じものに維持する必要はない。大震災で日本の比較優位は大きく変わったので、この機会に産業構造を大きく変えるべきだ。企業はすでに生産拠点の海外移転を進めているので、それを押しとどめてはならない。雇用創出は、国内に新しい産業を作ることによって行うべきだ。

(2)新しい産業によって脱工業化が進めば、電力需要も減る。それでも電力が不足するのであれば、無理して火力発電へシフトするのでなく、製品輸入を増やすべきだ。これは、外国の電気を間接的に購入することを意味する。

(3)新しい産業を興す場合、日本人だけを雇用しようとするのでなく、外国人専門家の活用を考えるべきだ。

(4)復興財源に関しても、日本が保有する巨額の対外資産の活用を考えるべきだ。国際収支においては、貿易収支の黒字化をめざすのではなく、所得収支の黒字拡大をめざす必要がある。

要するに、グローバル化した世界では、国内だけで解決を図ろうとするのでなく、世界的な観点の下で解決策を見いだすことが必要なのだ。

右に述べた方向付けは、そもそも震災以前から必要とされていたものだ。つまり、震災による変化は、進むべき方向を変えたのではなく、その方向を選択する必要性を強めたのである。

しかし、経済政策に関しては、内容がこれまでとは逆転するものもある。これまでと同じ考えを続ければ、状況を悪化させる場合がある。その典型が、為替・金融政策である。

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