調査で判明「幸せを感じている60代」に共通する事 「お金があれば幸せ」というわけではなかった

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でもやっぱり資産水準の満足度は生活全般の満足度に大きく影響する

次は生活全般の満足度と、残り4つの満足度の関係を分析します。この分析を行うために、生活全般の満足度は、健康水準の満足度、仕事・やりがいの満足度、人間関係の満足度、そして資産水準の満足度を構成要素として出来上がっていると考えます。

具体的には、生活全般の満足度を被説明変数として、残り4つの満足度を説明変数として、重回帰分析を行ってみました。その結果は、
生活全般の満足度=0.1610×健康状態の満足度+0.1584 仕事・やりがいの満足度+0.1513 人間関係の満足度+0.5060 資産水準の満足度+0.1519という関係式が見えてきました。

生活全般の満足度を高めるには?

ここからわかったことは、生活全般の満足度を高めるためには、他の満足度よりも資産水準の満足度を高めることの影響力が一番大きいということです。

現役時代に頑張って資産形成をするのは何のためなのでしょうか。退職後の生活を満足なものにすることだとすれば、お金があればいいというわけではありません。資産形成は、現在の生活を犠牲にしてまでするものではありません。健康であったり、生きがいであったり、そして家族であったりということも退職後の生活全般の満足度を高める大きな要因です。

しかし、それでも資産水準が退職後の生活全般に与える影響は大きいこともわかりました。現役時代の資産形成は必要です。しかし、できる範囲で続けることが、最も退職後の生活を豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。

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野尻 哲史 フィンウェル研究所代表

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のじり・さとし / Satoshi Nojiri

合同会社フィンウェル研究所代表。1959年生まれ。一橋大学商学部卒。山一証券経済研究所(のちに同ニューヨーク事務所駐在)、メリルリンチ証券東京支店調査部(のちにメリルリンチ日本証券調査部副部長)、フィデリティ投信(のちにフィデリティ退職・投資教育研究所所長)を経て、2019年5月、定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立。資産形成を終えた世代向けに資産の取り崩し、地方都市移住、勤労の継続などに特化した啓発活動をスタート。18年9月より金融審議会の各種ワーキング・グループ、タスクフォース委員に就任。行動経済学会、ウェルビーイング学会会員。

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