新垣結衣が7分間語り続けた「欲との向き合い方」 新境地と言われる映画『正欲』で感じた本音

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新垣さんが演じる桐生夏月は、とある性的指向を持つ販売員。映画の予告編は「自分がどういう人間か人に説明できなくて、息ができなくなったことはありますか?」という衝撃的な一言で始まり、観る者を引き込む。この役に彼女が感じた魅力と、出演を決意した背景にはどんなものがあったのだろうか。 

「映画の企画書とプロットを初めて読んだとき、惹かれるものを感じました。その後、原作を読んで、さらに引き込まれる部分を実感したんですけど、同時にこれを映像にするのは難しいだろうなと。そんな私の不安や疑問に対して、岸善幸監督は何でも話し合いましょうと提案してくれました」 

初対面の際、お互いの意見を共有し、監督は新垣さんの意見を正面から受け止めてくれたという。そこから生まれた信頼感が、同じ目標に向かって手を取り合って進む力となった。 

今回、岸監督は新垣さんの起用について、明確な意図を持っていたようだった。 

「親や世間には知られていない本来の自分との間で苦しんでいる。このギャップを表現するのがとても大事だと思いました。これまで演じた役柄が、夏月とは対極のイメージを持たれている人に演じてもらいたかったんです」(岸監督) 

芝居はどれもが新しく、“初めて”という感覚

一方、新垣さんは新垣さんで、夏月の役柄について自分なりに考察していた。 

(撮影:長田慶) 

「夏月は“とある指向”を持っていますが、それを人に話すのを避けています。他者と繋がることができず、孤独を感じています。 

私自身も35年の人生の中で生きづらいと感じたことはあります。でも、共感してくれる人や、共感や理解とまではいかなくとも、否定せずに聞いてくれる人たちに出会ってきました。その点で恵まれていますし、夏月とは違うと思います」 

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