年末恒例の漫才コンテスト、「M-1グランプリ」。このコンテストをゼロから立ち上げた元吉本興業の谷良一氏が舞台裏を書き下ろした著書『M-1はじめました。』が刊行されました。
谷氏はM-1を企画するまで、芸人のマネージャーなどをしていました。そこで出会った異才たちとのエピソードをつづった連載エッセイ「天才列伝――ぼくの出会った芸人さんたち」を、『お笑いファン vol.2』から抜粋・再編集してお届けします。このエッセイで描かれるエピソードに、M-1創設につながる、著者の芸人に対する価値観が見え隠れします。
今回は横山やすし編の前編です。
ぼくが吉本興業で出会った天才たち
ぼくは1981年に大学を出て吉本興業に入社しました。
その頃、前年から始まった漫才ブームがものすごい勢いで日本中に吹き荒れていました。
テレビをつければどのチャンネルにも漫才師が登場し、劇場にはお客さんが殺到し、漫才師はアイドルになり、漫才師の行くところには若い女の子がワーワーキャーキャーと押し寄せました。
そんな時代に吉本興業に入ったぼくは、本当にたくさんの天才と出会いました。
それも学校型の秀才ではなく、めったに世間にいない異才というべき人たちです。それまでのぼくの人生の中で出会ったことのなかった人たちでしたので、ものすごい衝撃を受けました。その人たちについて書いていこうと思います。
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