11月FOMCで「利上げの霧」が晴れるこれだけの証拠 いよいよ金融引き締めの終わりが見えてきた
詳しく9月のCPIを見ると、まず総合CPIは前月比プラス0.4%、前年比プラス3.7%とエネルギー価格上昇を背景にやや加速基調にあるが、コアCPIは前月比プラス0.3%、前年比プラス4.1%と8月のプラス4.3%から減速した。インフレの瞬間風速を計測するために3カ月前比年率の伸び率を計算したところ、9月はプラス3.1%であった。
その3カ月平均はプラス2.8%まで減速し、2%台の定着を視界に捉えた。雇用統計で示される平均時給の低下が示されるなど、労働コストが落ち着いていることを踏まえると、先行きも大幅な再加速は見込み難い。
次に企業サーベイ指標のPMI(購買担当者景気指数)に目を向けると、インフレが落ち着く中で製造業の景況感が持ち直すという望ましい動きがみられ、この指標単体では「株高・金利低下」を促すデータに見えた。10月24日に発表されたアメリカのPMI速報値は製造業PMIが50.0へと1.1ポイント改善し、ついに好不況の分岐点の目安となる50を回復。過剰な在庫の圧縮が進む中、自動車生産の回復などに支えられ2カ月連続で改善した。
2022年12月の46.2がサイクルボトムになった可能性が高く安心感のある結果であった。ヘッドラインを構成する5つの項目は生産(50.8→51.1)と新規受注(49.5→51.0)がともに50を上回り、生産活動が底入れ感を強めたことを示唆した。個人消費が驚くほどの粘り強さを発揮していることが背景にある。他方で雇用(51.9→49.8)は低下し2020年7月以来となる50割れを記録(サービス業PMIでも雇用は低下)。これは賃金由来のインフレが沈静化していることを印象付けた点で朗報であった。
何がアメリカ長期金利の上昇を促したのか
同時にサービス業PMIも50.9へと0.8ポイント改善した。金融引き締めの影響が顕在化する中にもかかわらず、50近傍で踏みとどまっている姿はソフトランディングそのものであろう。そうした中でインフレの先行指標として注目される「販売価格指数」は9月の56.0から10月は53.0へと急低下した。
販売価格指数は2022年4月に74.2という異常値をつけて以降、長らく50台後半で推移していたが、遂に50割れが視野に入る水準まで低下した。こうしたインフレ沈静化と景気の粘り強さを示す指標は「金利低下・株高」として認識して良いだろう。
そもそもアメリカ長期金利はなぜ上昇したのか。NY連銀の試算を用いて要因分解すると、それが「タームプレミアム(期間の長さに伴う上乗せ利回り)」主導であったことが見て取れる。
市場参加者が予想する短期金利の期待値(向こう10年間の短期金利予想値)を意味するリスクニュートラル金利は6月以降「プラス4.5~プラス4.7%」のレンジで大きな動きはなく、直近値もプラス4.5%程度であった。だが、この間タームプレミアムはマイナス1.0%近傍から一気にプラス圏に浮上した。
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