仕事人間の父親を解放してくれた子どもの不登校 「お父さん、あなたが悪い」と言われ憤慨したが

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「ハローワーク」について、私に教えてくれたのは、またしても娘でした。次女は、「学校なんて大キライ。それより働きたい」と言っていました。しかし私は「高卒資格ぐらい持ってないと働けないぞ」と反対してしまいました。中卒では仕事がないと知ってもらうために、娘といっしょにハローワークへ行きました。案の定、中卒女子ができそうな仕事はなくて、娘はガッカリしていました。それなのにハローワークの職員の方が「ガッカリしなくていいよ。アルバイトならいっぱいあるから」と言っちゃったんですよ(笑)。早速娘は、バイト情報誌からファミレスのウェイトレスのバイトを見つけて、働き始めました。

学校以上の勉強

そうすると給料をもらえる喜びもありますし、いろいろなお客さんに喜んでもらったことなどをよく話してくれるようになりました。それを聞いて、「これは高校の勉強よりもよっぽどいい社会勉強だな」と思うようになりました。その後次女は19歳のときにバイト先の正社員登用制度に推薦をいただきました。そこで自分が、中学からまったく勉強していないと気がつき、県立の単位制高校の夜間部を受験しました。

高校では、自分より年上の人や、仕事や子育てしながら熱心に学んでいる人の姿を見て「本当にすごいよ」と、娘自身もいい学びを得たと思います。昼間は働きながら、夜間(仕事が休みの日は昼間も)に通学し、3年間で卒業しました。その後は転職しながらも、通信制の大学で学び、社会福祉関係の資格を取得して、ケースワーカーとして働いています。

「ハロースクール」「ハローレスト」「ハローワーク」、それぞれの生き方があります。今は通信制や単位制の高校など、多様な通い方ができる学校が増えていますから、15歳からすぐに進学する必要はないんです。その子に合わせた進路をいっしょに考えてあげてください。

──最後に、今悩んでいる保護者さんに向けてメッセージをお願いします。

保護者の支援を長くやっているのは、私自身が競争主義や学歴主義などの自分を縛っていた価値観から解放されることで、子どもも解放されていったことを体験しているからです。私が変われたことが、子どもたちの幸せにつながったのではないかと思います。不登校は、しっかり向き合えば、親子ともども幸せになっていく絶好のチャンスだと思っています。

──ありがとうございました。

(聞き手・編集/水田綾子、編集・茂手木りょうが)

【プロフィール】長阿彌幹生(ちょうあみ・みきお)
1996年、娘の不登校を考えるために「お父さん研究会」を発足。2000年には人間関係を考えるための教育文化研究所を設立。さらに2012年、福岡市と不登校の保護者支援のための「不登校よりそいネット」事業をスタート。当事者支援及びサポーターの養成、講演・講座の講師、メディアへの出演などを行なっている。

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日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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