仕事人間の父親を解放してくれた子どもの不登校 「お父さん、あなたが悪い」と言われ憤慨したが
ある日、妻と子どもたちが通っていたカウンセリングの先生から「お父さんも来てほしい」と言われたというので行ってみました。先生から「お子さんが不登校になられた原因を知りたいですか?」と言われたので、「はい」と言いました。そしたら、私を指さされて「お父さん、あなたが悪い」と言われたんです。
そのときは非常に憤慨して、妻にも「あんな失礼なところには二度と行かない!」と話しました。ところが数日して怒りが収まってくると「あなたが悪い」と言われたことだけが思い出されてくるんです。「自分のどこが悪かったんだろう」と考えるようになりました。
それまでは学校へ行かないのは子どものせい、学校のせい、と外部に原因を探していました。「不登校の犯人捜し」です。でも、そこで初めて矢印が自分に向いたんです。当時の私は、職場では評価されていたので自信満々で、「自分が正しい」と傲慢になっていました。そこをカウンセリングの先生方は見抜いていたんです。私が変わるきっかけになった、1つ目のできごとでした。
しかし、これまで妻や子どもたちの話を聞いていなかったことにやっと気づけたものの、どう変わればいいのか自分だけではわかりませんでした。
そこで、友人たちに相談しまくりました。「まともなお父さんになりたいので、みんなの知恵を借りたい」と。4人~5人に集まってもらって、冷静な目で、みんなから意見をもらう「お父さん研究会」を、日曜日の午後に定期的に開催するようになりました。自分だけでは全然わからなかったのですが、第三者の冷静な目で「長阿彌さん、子どもの気持ちになったら、それは苦しいよ」とかいろいろと言われて、自分のクセなどに気がつけました。
縄をほどく時間
「お父さん研究会」で私は十字砲火を浴びるわけですから苦しかったですが、同時に心地よくもありました。「自分が正しい」と思いこんで突き進んでいくのは、肩肘を張るためのパワーが必要なんです。だから、そんなに力まなくていいんだなと。自分を縛っていた「正しくあるべき」という縄を1本ずつほどいていく感覚でした。
そんな私の変化をみて、集まっていた友人たちも自分が悩んでいたことを赤裸々に話し始めるようになりました。誰が教える・教えられるではなく、みんなで心を寄せてその人が楽に、幸せになっていくことをいっしょに考えることができるようになりました。