仕事人間の父親を解放してくれた子どもの不登校 「お父さん、あなたが悪い」と言われ憤慨したが

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それ以来、子どもが家でどうすごしていたとしても、良いとか悪いとかではなく、そのままの状態を受けいれられるようになりました。これが私が変われたきっかけの3つ目です。

私が腹をくくったら、しだいに娘も元気になっていきました。心を病んでいたので、障害者年金の手続きをしてあげると、「自分1人でも生きていくための練習がしたい」と、そのお金で1人暮らしをするようになりました。その後、パートの仕事も見つかり、パートナーと知り合って、結婚しました。今は2人で子育てをがんばっています。

休むことによって、ゆっくり自分の人生を考えていくことができたのだと思うんです。「学校へ行かないのなら働け、働かないのなら学校へ行け」ではなく、どっちもできないのなら休むという選択肢を認めること。いたずらに休んでいるのではなく、その時間に自分の未来のことを考えているのですから、休むという選択肢を親が保障するのは大事だと思います。

長阿彌さんの講演のようす(写真:不登校新聞)

学校だけが道ではない

──長阿彌さんはセミナーなどで、15歳からの子どもの選択肢として、3つの道があるとおっしゃっていますよね。

はい。15歳からの進路として、私は「ハロースクール」「ハローレスト」「ハローワーク」があるとお話しています。「ハロースクール」とは「進学すること」です。そして「ハローレスト」は「休むこと」です。長女がそうであったように、自殺未遂をするほど苦しい状況でも、家でゆっくり休むことで、すこしずつ気持ちが楽になっていきます。「休む」ことは進学と同等の選択肢として尊重されるべきです。

そして「ハローワーク」は「働くことです」。「15歳から働くなんて早すぎる」と思うかもしれません。しかしこれも「進学する」「休む」と同じくらい尊重されるべき選択肢なのです。

次ページ学校が嫌い、働きたいという娘とハローワークに
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