舞い戻ってきた王氏は、百川智能の創業を通じて生成AIの基盤モデルの1つである大規模言語モデル(LLM)の領域で成功を目指している。
同社の社員数は(現時点で)170人余り。その8割以上を研究開発系の人材が占め、コアメンバーは(王氏の古巣である)ソーゴウのほか、中国のネット検索最大手の百度(バイドゥ)、ショート動画大手のTikTok(ティックトック)などを運営する字節跳動(バイトダンス)、アメリカのマイクロソフトなどの出身者だという。
百川智能は無料で利用できるオープンソースの4つのLLMと、クローズドソースの2つのLLMをすでに発表済みだ。9月25日には、そのうちの1つに対応するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース、外部のシステムと連携させる仕組み)を公開し、企業間ビジネス向けの商用化のプロセスに進んでいる。
独自の優位性を発揮できるか
とはいえ、生成AIの開発競争は熾烈だ。中国のIT大手は(LLMの開発段階から)自社サービスへの生成AIの実装段階に進みつつある。
アリババの新CEOに9月に就任した呉泳銘氏は、「用戸為先、AI駆動(ユーザーを第1に、AIを駆使する)」というグループ戦略のスローガンを打ち出した。テンセントは、自社開発のLLM「混元(フンユエン)」を広告、ゲーム、SNS、ウェブ会議などの事業に応用する試験運用を始めた。
また、LLMの開発で相対的に先行する百度は、「文心(アーニー)」と名付けた生成AIの実装を検索エンジン、文書共有サービス、個人向けメディアプラットフォームなどに広げている。
そんななか、スタートアップの百川智能は独自の優位性を発揮できるのか、王氏の手腕が注目される。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は10月17日
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