「ゾロリは自立の物語」人気シリーズに込めた思い 子どもを信じて見守るしかできない「親ってつらい」
えんま大王のかんちがいから死んでしまうことになったゾロリは、天国のママに会いに行くことができました。そのときゾロリは、「ママといっしょにくらせるなら、このまましんでもかまわないや」と言うんです。するとママはゾロリの頬をたたき、夢を叶えていないのに今こっちに来たらダメだと言い、「じぶんのうんめいはじぶんできりひらくのよ」と言って突き放します。きびしい母親ですよね。でもママはゾロリの姿が見えなくなってから、涙を流して、「ゾロリちゃん、ごめんね。ママ、ほんとはだきしめてあげたかった。でも、いつまでもあまえんぼのゾロリちゃんじゃいけないとおもうわ。しっぱいしてもいい。やるべきことをしっかりやってから、ここにきてほしいの。……あの子、ひどいママだとおもってるかもしれないわね」とつぶやきます。
ゾロリのママは相当な勇気をふりしぼってわが子を送り出したんです。このシーンは、子どもたちの力を信じて見守ってほしいという気持ちをこめて保護者の方に向けて書きました。
子どもに手を貸さない勇気
――親からしたらどうしても子どもは心配で世話を焼きたいのだと思います。
その気持ちもよくわかります。大人は子どもより長く、先に生きているから、子どもの危なっかしい部分が目について、失敗しないようにと先回りしたくなるんですよね。子どもが宿題を後回しにして遊んでばかりいたら、「早く宿題しなさい」と言いたくなっちゃう。でも、なんで宿題を先にするのがいいのかということは、自分で失敗してみないとわからない。親がなんでも手をかけていたら、子どもはひとりで生きていく力を養うことができません。
子どもはいつか大人になって自分で生きていかなければなりません。親の役割は子どもを自立させること。そのためにも、保護者の方には子どもに手を貸さない勇気をもってほしいと思います。