「ゾロリは自立の物語」人気シリーズに込めた思い 子どもを信じて見守るしかできない「親ってつらい」

拡大
縮小

えんま大王のかんちがいから死んでしまうことになったゾロリは、天国のママに会いに行くことができました。そのときゾロリは、「ママといっしょにくらせるなら、このまましんでもかまわないや」と言うんです。するとママはゾロリの頬をたたき、夢を叶えていないのに今こっちに来たらダメだと言い、「じぶんのうんめいはじぶんできりひらくのよ」と言って突き放します。きびしい母親ですよね。でもママはゾロリの姿が見えなくなってから、涙を流して、「ゾロリちゃん、ごめんね。ママ、ほんとはだきしめてあげたかった。でも、いつまでもあまえんぼのゾロリちゃんじゃいけないとおもうわ。しっぱいしてもいい。やるべきことをしっかりやってから、ここにきてほしいの。……あの子、ひどいママだとおもってるかもしれないわね」とつぶやきます。

ゾロリのママは相当な勇気をふりしぼってわが子を送り出したんです。このシーンは、子どもたちの力を信じて見守ってほしいという気持ちをこめて保護者の方に向けて書きました。

『かいけつゾロリ いきなり王さまになる?』 (ポプラ社)

子どもに手を貸さない勇気

――親からしたらどうしても子どもは心配で世話を焼きたいのだと思います。

その気持ちもよくわかります。大人は子どもより長く、先に生きているから、子どもの危なっかしい部分が目について、失敗しないようにと先回りしたくなるんですよね。子どもが宿題を後回しにして遊んでばかりいたら、「早く宿題しなさい」と言いたくなっちゃう。でも、なんで宿題を先にするのがいいのかということは、自分で失敗してみないとわからない。親がなんでも手をかけていたら、子どもはひとりで生きていく力を養うことができません。

子どもはいつか大人になって自分で生きていかなければなりません。親の役割は子どもを自立させること。そのためにも、保護者の方には子どもに手を貸さない勇気をもってほしいと思います。

次ページ親という立場のつらさ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT