競合3キャリアが大反対!「NTT法見直し」の混迷 法廃止含めた議論に「待った」、NTTと真っ向対立

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競合がこぞって法廃止に反対するのはなぜか。ここで、NTT法が定める内容について触れておきたい。

NTT法が対象とするのは、持ち株会社のNTTと、その100%子会社であるNTT東日本・NTT西日本(以下、NTT東西)の3社だ。具体的な責務・規制として、①僻地も含めた全国への固定電話網の提供、②研究開発成果の開示、③組織再編や事業計画策定における総務大臣の許認可取得、などが定められている。

NTTグループの主な組織図とNTT法の対象範囲

NTT法については「固定電話時代の遺物」(総務省関係者)との見方もある。キャリアの主戦場が固定電話から移動通信、さらにいえば非通信分野へと広がりつつある中、NTTが圧倒的な優位性を誇る固定通信網などの存在価値は相対的に薄らいでいる。そのため見直しの必要性はかねて指摘されていた。

一方、3キャリアが恐れているのは、法の廃止によってNTTグループの再編が進み、市場の支配力が強まることだ。とりわけ競合の懸念は、NTT東西とNTTドコモの合併にある。

東西とドコモの再編を恐れる理由

ドコモは、通信市場の公正競争を担保する「電気通信事業法」の規制対象ではあるものの、NTT法においては枠外の存在だ。他方、NTT東西はNTT法の対象のため、社名変更には法改正が必要なうえ、新たな事業計画を立てるにも総務大臣の認可を得ることが前提となる。

こうした背景もあり、NTTは澤田純・現会長が社長在任中(2018年~2022年)にドコモの完全子会社化や、NTTデータとNTTリミテッド(NTTの海外事業会社)統合などの大がかりなグループ再編を次々と実行したが、NTT本体とNTT東西には手を付けていなかった。

では、なぜ競合はドコモとNTT東西の再編を恐れるのか。

NTT東西は、電電公社から受け継いだ光ファイバー網や通信局舎などの設備を有している。国内でモバイル通信や、FTTH(光回線)などの固定ブロードバンドサービスを展開するうえでは、競合他社もNTT東西のインフラを利用せざるをえないケースが大半を占めている。

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