必要な仕事が1日1時間で本当に終わる人の思考法 小手先のやり方では絶対できない時間の削り方

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別の例を紹介しよう。

運動習慣のない人は、関節の可動域が狭まって筋肉が衰えてしまう。しかし生活に「不便さ」を取り入れれば可動域は自然に広がる。たとえば歯ブラシと歯磨き粉を、別々の戸棚の高いところに置く。食器も体をしっかり伸ばさないと取れないところに置く。このように日常生活をほんの少し不便にすると、必然的に筋肉をストレッチさせられる。

単なるこじつけと思う人もいるかもしれないが、これは実際に行われて明確な効果を発揮した。この日常を不便にするという「小さなイノベーション」が、アポロ11号の3人の宇宙飛行士を救ったのだ。

重力の低下した空間ではウエイトが意味をなさないため、筋トレなどがしにくい。この「小さなイノベーション」を取り入れたことで、狭い宇宙船の空間でも宇宙飛行士の筋肉は自然にストレッチが繰り返され、無重力下における筋力低下を抑えて月面歩行が可能になった。このしくみを考えたのはローレンス・モアハウスというスポーツ医学の専門家だ。

創造性というスキルは生成AIに代替されない

このように最小限の労力で事態を好転させるしくみづくりは、いろいろなことに応用が利く。しかもお金はかからない。

仕事が早く終われば、心にゆとりができる。これは非常に重要だ。

仕事を減らす
『仕事を減らす』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

たとえば睡眠、食事、家事、通勤などに12時間費やすとしたら、平日に残されているのは1日12時間しかない。会社勤めなら、そのうちの7〜10時間を仕事に充てているという人も多いだろう。もし1日1時間で仕事が終わり一定の成果を出せるなら、たいていの悩みは自然に解決するはずだ。

仕事を減らして得られるのは、これらのことだけではない。努力せずとも自然によりよいものを生み出す力が身につく。この創造性というスキルは生成AIに代替されることはない。さらに、使えば使うほど能力が開花していくため、アウトプット全般の質が格段に上がる。それを使って仕事の生産性を高め労働時間を減らすのも、新たな能力を身につけ市場価値を高めるのも、自由だ。このスキルは、誰からも奪われることのない一生の財産となるだろう。

田中 猪夫 Creative Organized Technology LLC ジェネラルマネージャー

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たなか いのお / Inoo Tanaka

1959年、岐阜県生まれ。故・糸川英夫博士主催の「組織工学研究会」が閉鎖されるまでの10年間を支えた。Creative Organized Technology専門。20代にIT企業を起業。30代にはイスラエルのテクノロジーの日本へのマーケット・エントリーに尽力。日本のVC初のイスラエル投資を成功。40代にはデジタルマーケティングツールベンダーのカントリーマネージャー、50代にはグローバルビジネスにおけるリスクマネジメント業界に転身。ほぼ10年ごとに、まったく異質な仕事に携わることでビジネスにおけるCreative Organized Technologyの実践フィールドを拡張し続けている。

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