キヤノンが「8年ぶり大展示会」でみせた最新の姿 メディカルなどの注目製品と技術の一端を公に

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種も仕掛けもないゴルフボール。ロボットがボールをつかむと、表面のくぼみが積み上げに適した位置になるよう調節したうえでボールを運び、積み上げていく。見事、5つのボールを積み上げた。

これは、生産現場の自動化に関するデモ展示だ。キヤノンでは、さまざまな作業をロボットを使って自動化できるよう、研究を重ねている。精密機器の製造工程を自動化するとなると、ロボットに求められる動作や計測も超精密だ。生産に関する技術は、複合機やレンズユニットなど、事業横断的に使用されている。

技術者も進化している

「デモに慣れている事業部と違って、すごさをどう伝えればいいのか苦心した」。説明員ははにかみながらそう話すが、来場者から発せられる質問には堂々と答えていた。

生産技術の開発者にとっては、社内向けの技術開発が中心業務。一般の人の前で技術について説明するのは、「イレギュラーな業務で新鮮だ」という。社内向けの技術を展示するとなると、担当者が「難しいことをわかりやすく説明すること」に慣れていない場合も多い。

しかしキヤノンエキスポでは、技術者が説明員の役をを務めることにこだわった。来場者からすると、水色のシャツを着た説明員は、「説明しましょうか」と積極的に声をかけてくれ、わかりやすい言葉で説明してくれる頼もしい存在だった。

準備として事前に研修を行ったそうだが、エキスポ開催のためだけに実施したわけではない。営業活動も行う技術者、セールスエンジニアを育成すべく、それに必要な説明力やホスピタリティーを習得させてきた。このような社内的な取り組みのマイルストーンとして、今回のエキスポがあった。

キヤノンエキスポは天候にも恵まれ、大盛況に終わった。「業界の展示会を上回る充実した内容だった」「単にカメラの会社ではないと痛感」「3次元地図作成ロボットやスマートグラスなど、参考展示の幅が広くて驚いた」など、来場者の評判も上々だ。

次の成長を担っていく製品群。協業を見据えたオープンな姿勢。積極的にコミュニケーションを取れる技術者。8年ぶりのエキスポは、御手洗氏の言った「キヤノンのいちばん新しい姿」をみせることに成功したのではないか。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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