花王コフレドールで波紋「大手ドラコス」の苦境 「プチプラ」「デパコス」は好調なのになぜ?

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ブランドの世界観がしっかり作り込まれ、百貨店で美容部員が魅力を丁寧に説明する高価格帯は感性に訴える情緒的価値が高く、低価格帯と明確に差別化できている。一方で中価格帯の立ち位置は中途半端だ。中価格帯メイクの多くは自社の美容部員を基本的に用意せず、ドラッグストアでのセルフの販売形式を主軸としており、商品の価値を伝えるハードルが高い。

これまでは大手ブランドがテレビCMなどマス広告でシェアを広げてきた。だが、若年層が憧れとする対象も、第三者視点で商品の特徴を語ってくれるインフルエンサーに変わりつつある。化粧品を使う身近な場面を具体的にイメージさせてくれる上、SNSで支持を集めていれば「良い商品で安心」という感覚もあるようだ。

「プチプラ」「デパコス」に並ぶ用語がない

そのインフルエンサーが中価格帯メイクを紹介しづらい事情もある。「デパコス10選といった投稿はしやすいが、中価格帯を表現しにくいという声が上がっている」(アイスタイルの西原氏)。

高価格帯は「デパコス」、低価格帯は「プチプラ」という用語が浸透している一方、中価格帯を表す一般的な用語がないことが、立ち位置をさらに曖昧にし「バズりにくい」商品になってしまっている。

大手は劣勢をどう挽回するのか。コーセーの宮沢氏は「中価格帯メイクの強みは、ハイスペックな化粧品を身近なドラッグストアなどで購入できることだ。若年層が年を重ねた時にステップアップできるブランドとしての役割を果たしていきたい」と語る。

その上で「普通の商品を提供しても正直、中価格帯の化粧品を買う必要はないので状況は変わらない。お客さんの悩みに対してブランドが約束することを明確に絞って、アプローチしていきたい」(宮沢氏)と意気込む。

中価格帯メイクを、再び盛り上げることができるのか。独自の立ち位置を築けるかが分かれ道になりそうだ。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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